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リネンの原料であるフラックスは、6月中旬~下旬に青紫色の花を咲かせます。
フラックスは開花しても半日で散ってしまうため、
満開の様子が見られるのはほんの数日間だけです。

今年も心待ちにした特別な季節がやってきました。
Rouenから北西へ向かって1時間ほど車を走らせると、
人口3千人に満たないDoudevilleという小さな町があります。
“リネンの交差点” とも呼ばれているこの町の辺り一帯は
リネン作りの主要地域で、広大な畑をあちこちで見ることができます。

畑では真っ直ぐにのびたフラックスがびゅんびゅんと風に吹かれ、
可憐な花たちは青い大海原を作っていました。
それはまるで夢の中にいるような、幻想的な風景です。

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▲満開の青い畑。午後には散ってしまう。

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▲花弁は5枚。繊細で取れやすいため受粉は風によってされるのだとか。

1mほどある細くて長い茎はぽっきり折れてしまわないか心配になるほどですが、
しなやかな繊維質でできているので、手でちぎってみようとも容易には切れないし折れません。
どうりでリネンが丈夫な訳です。

リネンは地元ノルマンディの人々も大切にしている産物です。
製品の魅力や製造工程を伝えるためのお祭りが、
ちょうど開花の時期に合わせて開催されていました。
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▲お祭り開場に展示されていた農耕車。
一番手前のは根っこごと引っこ抜いて収穫しそのまま土に並べて寝かせる作業をする。

展示販売のブースではリネンのパンを作る粉や、リネンシードを売るブースがありました。
この地域では、リネンシードを混ぜたシューケットなどの焼き菓子やパンがよく食べられています。
健康にとても良いのだそうで、我が家ではサラダにかけてプチっとした食感を楽しんでいます。

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▲左端がリネンのパンを作る粉。特産の林檎ジュースや鴨肉のパテなども。

リネンの良さは日々実感するばかりですが、
儚く芯の強いあの姿を思い出して益々心惹かれています。

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ENYO ソリアノ綾佳
http://laviedenyo.blogspot.fr/