ひかり農園の米づくり

兵庫県南部地方。日本標準時の基準となる東経135度上に、ひかり農園はあります。
農園主である増田卓也さんは、六甲山系に象徴される豊かな水に守られたこの地で生まれ育ち、
30代半ばで故郷に戻り農業をはじめました。以来自然な状態を大切にした農法で作物を作っています。
伊勢神宮の神嘗祭でも使われている貴重なお米、イセヒカリのほか、珍しい品種を手掛け、
農法もとてもユニークなひかり農園。そのお米をエンベロープでご紹介します。

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4反(4000平米)以上もある増田さんの水田。こんな大きな田んぼでも、無農薬栽培では基本、
草取りは手作業で行います

耕さない田んぼには生き物がいっぱい。夜明けには神秘的なトンボたちの羽化もみられます

自然、ありのままを大切にした稲づくり

ひかり農園では、農薬を使わずに作物を育てています。薬なしで作られた作物をそのままいただくことが、作物が持つエネルギーを多く取り入れられるという考えから、無農薬栽培を前提としているのです。

そのためには、厳しい環境でも薬の助けなしで生きていける強い稲を育てなければなりません。そこで増田さんが辿りついたのが「不耕起栽培」でした。不耕起栽培とは、読んで字のごとく田んぼや畑を耕さずに栽培する方法です。

「耕さない固い土壌で、稲は野生化します。本来の力を解き放つことで、病気や虫や草にも負けない丈夫な稲になり、秋には水晶のような特別なお米を育んでくれるというわけです。ただどんなに田んぼが素晴らしくても、苗が弱々しいと固い地面に根をはることができません。丈夫な苗作りが、この農法の成功を決めるのです」(増田さん)

生き物いっぱいの田んぼの起点はいつも微生物たち。田んぼに米糠が魔法をかけます

農薬だけでなく、ひかり農園では肥料も使っていません。使うのは米糠のみ。それも稲への肥料ではなく田んぼに生きる、イトミミズなど微生物のためのエサなのだとか。
「稲の肥料分は、この微生物達が作ってくれます。収穫の終わった稲のワラを田んぼに返し、米糠を起点に微生物が分解してゆきます。土にかえった稲は微生物達によって最高の天然肥料となり次の世代を育てるのです」

おひさまの力。単に乾燥するだけではなく、そのエネルギーはお米にチャージされます

やがて成長し収穫された稲は乾燥機ではなく、おひさまのもとで乾燥されます。そうすることで、ワラの甘味や旨みがお米に伝わって味が違ってくるのだそうです。
「天日干しには労力と手間がかかり、天候にも左右されるため、一般的には採用されないようです。それでも、ひかり農園は天日干しにこだわります。実際に食べていただければその違いがお分かりになると思います」

増田さんの食卓

「自分達で作る食材と一般流通品との違いを体感してしまってからは、コンビニやスーパーの商品はほとんど買わなくなった」という増田さん。自身が育てた旬の野菜をそのまま食べる食生活をつづけることで、過酷な農作業にも耐えうる丈夫な身体になったそうです。

そんな増田家の朝、食卓に並ぶのはごはん、味噌汁そして梅干。ごはんは浅づきにしたイセヒカリかコシヒカリをその日の気分で選びます。味噌と梅干も自家製です。「朝、しっかりお米を食べると日中湧いてくるエネルギーや空腹感が全然違います」

そろそろ収穫の時期…

植え付け直後の苗と優しい陽の光

スイッチが入った稲。ここから見違えるような立派な姿に…

神秘的な朝…いっせいに出穂するコシヒカリ

穂をたれるコシヒカリ、黄金色の稲穂

風にたなびく緑米、太古の昔から変わらない風景

もうすぐひかり農園は収穫シーズンを迎えます。コシヒカリにはじまり、その後10月半ばまで刈り入れの時期はつづきます。 今年のできをたずねると、本当に素晴らしい稲に育ってきているとのこと。穂が出ているコシヒカリには、そのおいしさを証明するかのように毎日スズメが群がっているそうです。

イセヒカリ

ひかり農園のメイン品種。伊勢神宮の祭事の中で重要な神嘗祭(収穫した新米を神様に捧げる行事)で使われている、米穀店やスーパーなど一般市場では手に入らない貴重なお米です。あっさりと食べやすく、それでいて甘味もある奥深い味。(写真は3kg入り)

コシヒカリ

そのずば抜けた旨みと甘味、でんぷん質の比率が高くモチモチとした食感で人気のメジャー品種。ひかり農園では、コシヒカリを無農薬の特別米として仕上げています。米だけで美味しいので、シンプルに塩むすびでいただくのがおすすめ。(写真は1kg入り)

緑米

名前の通り緑色のもち米で、他の米に比べて粘りが強く甘みがあって、マグネシウムや亜鉛、食物繊維を豊富に含んでいます。米1合に大さじ1の割合で混ぜて炊くと、プチプチ、モチッとした食感が楽しめ冷めても美味しくいただけます。(写真は300g入り)

初回お試しセット(イセヒカリ精米3kg、コシヒカリ精米1kg、緑米玄米300g)

●増田卓也
1976年生まれ。広告代理店で企業の事業・経営企画の業務に携わる。とあるプロジェクトをきっかけに「農」に行き着き、30代半ばで生まれ育った地で就農。「家族が囲むテーブル、その幸せな空間を支える食材作りに喜びと感動を覚えます。百姓の仕事は作物を作るだけでなくその土地の風景を作る、最古の公共事業なのでは」