花とおいしいもの
幸せの朝ごはん


前の晩から何も食べていない状態をBREAKするのがBREAKFAST、朝ごはんです。身体をリセットし、おいしい朝ごはんで再びスタートを切れたら、その日を気持ちよく過ごせそうな気がしませんか。
ただいまカフェリゼッタでは、素敵な一日を予感させてくれる朝食イベント「petit dejeuner/petit bonheur」が行われています。

この催しは、カフェリゼッタの鶴見昂さんとKAFE工船のオオヤミノルさんの「おいしい朝ごはんが食べたいね」という何気ない会話からはじまりました。 その後強力な助っ人、料理家の冷水希三子さんが加わり、二人の願いが実現することとなったのです。
冷水さんと鶴見さんがフードを担当し、それに合わせたコーヒーを考えるのはオオヤさん。イベントのタイトル通り、小さな幸せがそこにはあります。

ところで、ご本人たちはどんな朝を過ごしているのでしょうか。



テイスティングにはじまる、朝
京都の美山でコーヒー焙煎所を営むオオヤさんの朝は規則正しく7時に起床し、何も口に入れない状態で(ここが重要なのだとか)コーヒーのテイスティングをするのが決まりごと。そしてもう一つの決まりが、体操。 ラジオ体操を思い浮かべると、どうやらそれは違うらしく「たぶんオリジナルの“オオヤ体操”です。ヨガのような不思議なポーズをとるんですよ」と友人である冷水さんがこっそり教えてくれました。

珈琲焙煎家であるオオヤさん。朝飲むのにおすすめは、ジュースのような酸味を持つコーヒーに濃いミルクで作るカフェオレとのこと。 ただし品質のよい豆であることが条件。
全てがスタンバイOKになったら、朝9時からの仕事に備えて腹ごしらえ。 パンの時もあればご飯の時もあるそうですが、メインは卵と決まってます。 陶芸家山本教行さんから贈られた鍋でつくるポーチドエッグ、ガラス作家辻和美さんの エッグスタンドで食べる半熟のゆで卵、またある時にはおいしいと噂のオムレツ。 「オオヤさん、上手にできたら女の子にモテるだろうとオムレツを猛練習したそうですよ」。 これも、冷水さんがこっそり教えてくれました。



忙しい朝も、ゆっくりとした朝も。
朝食は「食のサービスを一番シンプルに考えられる時間であり、作業」というオオヤさんに対し、冷水さんの朝は仕事柄とても不規則。「撮影のある日は4時起きのこともあれば、夜が遅かった時はゆっくり8時頃まで寝ている日もあったりして。バラバラですね」。けれど朝食についてたずねると、やっぱり「食」が仕事の人。「朝きちんと食べれば、リズムが生まれて生活がちゃんとする気がするんです」

だから忙しい日でも、無塩バターと蜂蜜を塗り塩をふって仕上げるトーストと季節のフルーツ、コーヒーは口にする。
蜂蜜や塩、バターはその時々でおいしいものを選んでいるそうで、塩だったらアルケッチャーノのが最近のお気に入り。
「バターはカルピスバターが多いのですが、佐渡のバターもおいしいんですよ。木製のチャーンでつくられているそうで、発酵バターのようなおいしいさなんです」。オリーブのまな板をトレイに見立てた、キッチンでの朝食は慌しいものなのかもしれないけど、そこにはきっと幸福な時間が流れているのだろうと、楽しそうな話しぶりから伝わってきました。

雑誌や広告などで活躍する料理家、冷水さん。思い出深い朝食は、ポルトガル旅行で毎朝のように出てきた硬くて中はスカスカの大きなパン。「びっくりするほどおいしくなかったんです(笑)」



冷水さんが考える「モーニング」
一方時間がある日には、野菜たっぷりの朝ごはん(兼昼ごはん)が食卓に並ぶこともあるのだとか。
今回のイベントでも、そんな一皿が用意されました。それがこちらです。

ローストした新たまねぎとクミン風味の春キャベツ、春野菜のサラダ。使われている野菜も様々なら、その調理法もロースト、ボイル、フレッシュとそれぞれ異なっていて、色々な味を堪能できます。

もう一つの主役がロースハム、こちらは粒マスタードと伊予柑のコンフィチュールとともに。
ハムの塩気にスパイシーさと爽やかな甘さが加わり、新しいおいしさです。「茹で卵の黄身を崩して野菜に絡めながら食べてもいいし、パンはコンフィチュールを塗ったり、ハムをはさんだり。お皿の中で、好きなように調節できるようになっています」と冷水さん。これなら充分満足する気がしますが、実はここでは終わらない仕掛けになっているんです。「優しい甘さにしてあるので、食後は甘いものが欲しくなると思いますよ」。





甘いものとコーヒーで大団円
その甘いものを担当するのが、鶴見さん。「朝」について聞くと、どうやら寝起きはあまりよくないよう。そんな彼を目覚めさせるのが、たっぷりのカフェオレ。イッタラの紅茶用(コーヒー用では小さいため)カップになみなみと注ぎ、飲んだところで朝が到来。そして発酵バターを塗ったパンドミのトーストに、冷水さんと同じく気分に合わせて蜂蜜やコンフィチュールを選ぶのだそうです。

鶴見さんは甘いもの以外に、春のおいしさがつまった「朝のタルト」やじゃがいもをベースにした「朝のゴーフル」なども考案。


その静かな語り口とは対照的に、鶴見さんがつくるものは甘いもの好きの心をぐっとつかむスイートさ。今回のために用意したホイップクリームやメープルシロップ、コンフィチュールをたっぷり添えたフレンチトーストや、花畑のようなフルーツサラダなどもまた然り。頬が自然に緩みます。

添えられているコンフィチュールは、旬の伊予柑を丸ごと使った冷水さんと鶴見さんの共作。
その名も「朝のコンフィチュール」。朝の光に照らされて、きらきらと輝く。



そして最後に登場するのが、オオヤさんのコーヒー。
ケニア、コロンビア、タンザニアなどをブレンドしてつくられたエスプレッソは、奥深く物語のような味わい。
爽やかに朝食を締めくくってくれます。それはまるで三人が握手しているかのような、大団円といった感じのような、そんな後味を残してくれるのです。

オオヤさんがリゼッタのマシン用に焙煎したエスプレッソ。朝はカフェオレやカプチーノ派が多いのかもしれませんが、ここまでしっかりと食べた後。やっぱりここはエスプレッソなのです。 自分で濃さを調整できるよう差し湯とフォームドミルクが、添えられます。



「petit dejeuner/petit bonheur」は、4月18日(日)まで行われています。大阪北浜のエルマーズグリーンカフェ でも、4月10日(土)「ALLDAY ELMERSGREEN BREAKFAST」として開催されます。