つくる工程を見てみましょう!・・・つづき


脱水

これも洗濯機と同じ原理!中の袋に洗ったボタンを入れ、たるを回して脱水します。

遠心力で水が外に流れ出ていきます。
ほら、すっかり水気がとれました!


つや出し

さあ、でき上がりと思いきや、最後に大切な作業がありました。それがつや出しです。
使うのは、何と蝋をひいた籾。
「すいかの種を使ったり、自然素材を使うことが多いですね。この作業はいってみれば、シャンプーの後のリンスみたいなものです」。
福引のガラガラのような八角形の木箱に籾とボタンを入れ、ぐるぐる回すと、ボタンがつやつやに。
「この作業をする前のボタンは、手で握ると、しっかりてのひらに残るけど、つや出ししたあとは、ホラ」。
手でにぎってもすべって手からこぼれていきます。つるつるぴかぴかに仕上がりました!
籾とボタンを回し終わったら、ざるにあけます。

最後にザルでふるうと、籾だけが下に落ちて
きれいにボタンだけが残りました。


選別

でき上がったボタンは、色の違いを細かくチェックしてより分けます。さすが熟練の職人さんたち。瞬時に見分けて選別していきます。高瀬貝は明るい光で、逆に黒蝶貝などは色が濃いので電灯を使わず、自然光の下で選別。そうしないと、微妙な色の判別がつかないのだとか。
「最後もやっぱり人間の目でチェック。100パーセント機械、というのはありえないですね」。
明るい電灯の下で、高瀬貝をチェックしています。

これはボタンを瞬時に数えるための道具。たくさん入れて横にふると、
枠にはまったもの以外は滑り落ちてぴったり500個残ります!すごい知恵!



貝ボタンには、丁寧にきちんとつくられたもののよさがある


ただくりぬいただけ、石のようだった貝が、いくつもの工程を経て、最後につやつやのボタンになっていく。それはまるで、原石が宝石に磨き上げられる様子を見ているようでした。
そして、さっきコンピューターで制御されたレーザーの機械を見たのに、次の工程では年季の入った古い木の樽や籾が登場するなど、ハイテクと昔ながらの手法をうまく共存させながら作られていることに感心。また、何よりも印象深かったのは、どの工程にも必ず人の目と手が加わっていたことでした。
まさに貝ボタンは、受け継がれた知恵、そして手間と技術の結晶。そう思うと、とてもぞんざいには扱えなくなって、いとおしささえ覚えてきます。
伴井さんは、
「最近は、洋服に携わろうとしている若い人たちでも、貝ボタンを知らなかったりするんです。だから、服飾系の専門学校で講演するなどして、こっちから広めていかないといけないなと思ってます」とも話してくださいました。
見た目が美しいだけでなく、こんなにたくさんの職人さんたちの目と手を通して生み出される貝ボタンには、丁寧にきちんと作られたもののよさがあります。そんなものを身に着けると、ちょっと心が豊かになる気がしませんか?