15.05.15

わたしの木の道具

今回はエンベロープのスタッフあおきより、キッチンツールのお手入れの話をお届けします。連休はどこにも行かず、こんなことばかりしていました。梅雨前に生活をととのえたくて、です。


■ かわいそうな色褪せ道具

ひと目見て好きになって、これがあったら台所がすてきになるな、
毎日のごはんが楽しくなるぞと思って、いつしかたくさんになった木の料理道具。
たいそう入れ込んで、熱い気持ちで買ったはずなのに、
ある日、何とはなしに眺めてみたら、こんなに色褪せてしまっていました。

ほったらかしにしてごめんね…。

というわけで、連休のあいだにごくごく簡単なお手入れをしました。

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キャンプの道具箱と台所で発掘した木のキッチンツール。酷使しすぎてしらっちゃけています。こうなるともはや味でも経年変化でもなく、老化…

 

■ お手入れをしてあげました

用意したのは油と布と新聞紙。えごま油やくるみ油が向いているようですが、
家になかったので、太白ごま油の白を使いました。
匂いもべたつきもなくちょうどよかったみたいです。

oil

布に油を染み込ませて、拭いていきます。きゅっきゅっきゅっとちょっと力を入れて。

 

 

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左がお手入れ直後、右がお手入れ前。出あったあのころの魅力が戻ってきた気がします。

 

 

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隅田朋之さんの桜皿。じっくり磨いて向き合っていると、こんなにきれいな彫り跡があったんだと再発見。無垢なのでどんどんオイルを吸っていきます。あー、のど渇いてたんだね。よしよし。

 

4e

左2本が磨く前のかさかさ、枯れ果ててしまった面々。右がつやつやになって、えっへん、誇らしげなスプーン軍団。

 

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窓を開け放って風にあてます。これで一日置いてお手入れは終了。あ~気持ちいいなぁ、初夏の風。

 

 

■ かつては山道具、今は家の食卓で

子どもたちがまだ小さいころ、よく山にキャンプに出かけたのですが、
アウトドア用のチタンの器とカトラリーが擦れるきいきいという音が苦手でした。

パエリアをスプーンで食べるとき。
パスタをフォークでくるくるっとするとき。
スープを飲むときだってほら。

金物と金物があたる音。
想像しただけで眉間に皺がよっちゃいますね。

プラスチック製品もあまり使いたくないので、
いつの間にか木のカトラリーが増えていました。

子どもたちが一緒に遊んでくれなくなった今では、
山ではなく、普段の食卓で使うことが多くなって、
「これはお塩をすくうのにぴったり」「鉄の器には深い色のが似合うね」
なんて組み合わせを楽しんでいます。

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我が家でいちばん出番の多いブラックウォルナット。ざくっと刺せるし、しっかりすくえるしで、木であることを感じさせないカトラリーの優等生です。

 

 

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お茶目な姿に惹かれて買った山桜のスプーン。

 

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小さい口の瓶にもしゅっと入るので、ジャムやはちみつに使っています。薄いつくりなのでパンに塗りやすい。

 

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高校生の息子のカレー弁当には少し大きめのこのスプーン。ステンレスと触れても嫌な音がしないので、もりもり食べられるみたいです。(大量の玄米ごはんもいつも完食)

 

■ 作業を終えて

お手入れが終わったあとの道具たちを眺めてみると、
新品のきれいな状態に戻ったのではなく、
味わいも艶も増して、買いたてのころにはなかった
深みが備わった感じがしました。

しっかり向き合って愛情をかけた分だけ、愛着も沸いたのかな。
それとも、これがいぶし銀の魅力というものなのでしょうか。

お手入れをしながら、木の道具と自分を重ねて、
人間も、若さや新しさにしがみつくのではなく、
年を重ねたなりの魅力が出せるとすてきだななんて、
そんなことを思ってしまいました。

そして道具は、かわいがってあげるとそれに応えてくれるんだなとも。
子育てや植物の水遣りに似ていますね。

 

aoki

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