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18.03.22

《特別コラム》advintageが語る「ヴィンテージ時計の魅力」3

advintage店主佐伯さんが語る「ヴィンテージ時計」のお話。今回のテーマは、特に思い入れが強いブランド「スミス」について。他のメジャーブランドにはない奥ゆかしい表情や、日本人の腕に収まりの良いサイズ感やデザインが何より魅力的なのだそうです。

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■知られざる英国製時計メーカー「スミス」

advintageでは、現在では存在していないメーカーやそれほどメジャーではないブランドが手掛けた、知られざる良質な腕時計を多数セレクトしています。

そんな中、とりわけ思い入れの強いブランドがあります。今はなき英国の純国産時計メーカー「スミス」がそれです。英国が主な仕入れ地となる当店ならではのセレクトと言えますが、それ以上に他のメジャーブランドでは味わえない奥ゆかしい表情や、日本人の腕に収まりの良いサイズ感やデザインが何より魅力的なのです。

スミスは高品質な機械式時計はもとより、自動車などの計器類の製造を行なっていたイギリスの名門時計メーカーです。その歴史は古く、1851年にサミュエル・スミス がロンドンで創業した宝飾・時計販売店「S. Smiths & Son」にはじまります。

特に豊富なバリエーションを誇る人気モデル「デラックス」はもちろん、戦後間もなくリリースされたスミスの初期モデルは、黎明期ならではのプリミティブなテイストが入り交じる表情が魅力的。製造数も極端に少なく、とりわけ金無垢、銀無垢のケースを採用する最上級品はもはや幻と言えます。

 

 ■エベレスト登頂をきっかけに

スミスの腕時計の筆頭に挙げられるのが、1951年から製造が開始されたスミスのベストセラーモデル「デラックス」。

デラックスの特徴は、信頼性の高い英国製ムーブメントは言うに及ばず、その豊富なデザインバリエーション。とにかくさまざまなケース・文字盤デザインのパターンが存在します。

とりわけ9金無垢をケースに用いたドレッシーな腕時計は、落ち着きのある輝きと控えめな表情に魅了される逸品揃い。その世界観も懐が深く、意外なほど洋服を選びません。

スミスの腕時計が初めて世に知られたきっかけは、ジョン・ハント率いる英国のエベレスト遠征隊による1953年5月29日の世界最高峰初登頂と言われています。

 

その際人類で初めてエベレストの頂に立った冒険家エドモンド・ヒラリー卿の腕にあったのが、厳しい環境下でも正確な時間を刻むスミスの「デラックス」でした。

 

 

そのエベレスト登頂を記念し、デラックスを越えるフラッグシップモデルとして翌年1954年にリリースされたのが、その名もズバリ「エベレスト」。

基本設計はデラックスに依拠しつつ、受け石が通常よりも多く用いられたハイエンドなムーブメントを採用しているのが特徴です。ただし製造個数は極端に少なく、スミス屈指の希少モデルのひとつとなっています。

■その後も続々と名作をリリース

デラックス、エベレストにつづいて発表され、1960年代末までロングセラーを続けたのが、「アストラル」。デラックスに負けず劣らず豊富なバリエーションを誇り、当時のトレンドを反映したシンプルかつモダンなデザイン性が特徴です。

 

 

ちなみにこのアストラルの名前は、元々19世紀にH.ウィリアムソン(H. WILLIAMSON LTD.)社が保有していたブランド名で、後にスミスに吸収された珍しい経緯があります。その後1958年、スミスが誇る名機CAL.1215を大幅にアップデートした新型ムーブメント、CAL.1014を初めて搭載した事実上の最高位機種が「インペリアル」です。

 

 

「新しいスリムなエレガンスと際立つ精度のコンビネーション」という謳い文句で、デザイン性もそれまでのクラシカルなものから、モダンでボリューミーなシルエットに変貌。これがスミスの最晩年モデルであり、アストラルとともに1960年代末までリリースされたスミス最後のハイエンドモデルとなりました。

 

さらにスミスは自社ブランドだけでなく、当時英国に存在した様々な小売店・宝飾品店向けにOEMを行っており、他社名義でのスミス製腕時計もまた傑作が揃います。

アラビア数字とクサビ形のインデックスを交互に配置したこの文字盤デザインは、スミスの中でも比較的初期から存在し、最も愛されたデザインのひとつ。こうした他社向けの製品だけでなく、スミスのオリジナルラインにも数多く採用されています。

 

特にミニッツトラック(分目盛り)を内側に配するスタイルには、アール・デコ期の腕時計デザインの影響が伺えます。 そして忘れてはならないのが、スミスが初めて国産腕時計の製造を開始した1947年から、デラックスがリリースされる1951年まで、数年間だけ製造された希少な初期モデル。

 

見ての通り、スミスのロゴのみ冠せられたシンプルな文字盤。デラックス以降のスミスの腕時計デザインとは明らかに異なる、プリミティブな表情。「アーリー・スミス」とも呼ばれますが、これを抜きにスミスは語れません。

そのケースはいずれも英国のウォッチケース専業メーカー「デニソン社」が手掛けており、質実剛健にして上品なシルエットが特徴的です。デニソン社はロレックスをはじめとする数多くの名門ブランドのケースも手掛けた、高品質ケースメーカーとして知られています。

1970年代を迎えると、当時日本が開発したクォーツ式ムーブメントが猛威を振るい、スミスの腕時計の生産は終了します。1940年代末から1970年代初頭までという、腕時計メーカーとしては20年ほどと比較的短命に終わってしまったのは、そのベースが自社の英国製ムーブメントへのこだわりによるものだったのかもしれません。しかしそうした背景が、いま、スミスの製品群を一層輝かせていることは言うまでもありません。

advintageが心酔するスミスの腕時計。今回は厳選した6本のスミスを期間限定で販売させていただいております。ぜひこの機会に、その世界観を味わってみて下さい。

Author:advintage

カテゴリ:エンベロープ, shed

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