「日本のパリ」北船場を歩く



Lisetteの新しいお店が、先月大阪淀屋橋にオープンしました。 淀屋橋は大阪駅のある梅田から地下鉄でひと駅、歩いても御堂筋を南に15分ほどで到着します。 Lisetteがあるのは、昭和初期に建てられたビルの2階。 「昭和初期?」と驚くかもしれませんが、この界隈では、現役で働く歴史ある建物は珍しくありません。 そんなモダンとレトロが同居する街並みを歩きました。





現在大阪の中心地である梅田は、新しくオープンする百貨店、 リニューアル中の百貨店などがいっせいに工事をしていて慌ただしい雰囲気。 それに比べると、この一帯、北船場はとても落ち着いた時間が流れています。

大阪は水の都と呼ばれていて堂島川、土佐堀川の二つの川の南側に位置するのが、淀屋橋や北浜です。水の都といえばベニスですが、むしろパリに近いイメージ。 どことなく、パリの左岸に似ています。

セーヌに浮かぶシテ島と、二つの川に挟まれた中之島は、ほとんど同じ大きさだとのこと。その上に架かる難波橋はパリの橋を参考にしたという説も。



難波橋から川を眺めて

剣先広場として親しまれている中之島の東端。のんびりとくつろげます。

公園内の東洋陶磁美術館。 各地を巡回している人気の「ルーシー・リー展」も、 小振りなこの美術館ならゆっくりと見られそうです。


二つの橋を渡ると、オフィス、レストラン、お店が混在するこじんまりした街が広がってきます。



冬の初めのいちょう並木はマロニエのように美しく、御堂筋沿いのビルたちは高さが揃っていて、パリの街並みを彷彿とさせました。よく「大阪の人はせっかち」と言われたりしますが、そんな様子はうかがえません。
(写真中)メインストリート御堂筋には、30近くの彫刻作品が並ぶ。(写真右上)近代的なビルにの中に趣深い建物(写真右下)ガス灯の柔らかな光に包まれる綿業会館。重要文化財に指定されています。



そして、ここがLisetteが入っている芝川ビルです。

80年以上に渡りこのビルを保有する芝川さんは、こうしたビルがまだ残っていることを多くの人に知ってもらい、実際に使えるビルとして維持していきたいとお考えです。 芝川ビルの存在は、いろんな顔を持つ北船場の街の魅力の一つに違いありません。「自分たちも、そうした街に彩りを加える存在になれるように頑張っていきたい」そう、Lisetteのスタッフは話していました。





Lisetteがあるのは202号室。昭和2年の竣工当時からあまり変わりなく、オリジナルの意匠を損なわないようなインテリアに仕上げ、床のカーペットも元のスタイルを踏襲しています。







Lisetteのスタッフの多くは自転車通勤。
職住接近のパリによくあるライフスタイルが、ここでは実現できるように思えます。



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