ものづくりを訪ねて
高橋永順さんのプリント生地


フラワーアーティスト高橋永順さんが描いた花が、リネンの生地になりました。
軽やかな布の上には、柔らかな色彩が広がります。




永順さんは、花の美しさを絵としても表現しています。
描かれているのは、淡いピンク色の愛らしいバラ、そして一面に咲き誇る色とりどりのバラ。
どちらもご自宅で咲いたというもので、その可憐な姿に魅せられて、無心に描いたのだそうです。



さらにその作品を鑑賞するだけではなく、暮らしの中にも取り入れてみたくなった永順さん。
リネンが大好きで、これまでリネンバードの生地で様々なものを制作していた縁から、一緒に生地づくりをすることとなりました。

まずは、キャンバスとなる生地選び。
店内にずらりと並ぶ生地の中から永順さんが選んだのは、二つのベルギーリネンでした。
一面に咲くバラの絵には、滑らかな手触りの「パナレア」という生地を。 はかなげなピンクのバラの絵には、薄く繊細な生地「スキバレン」が使われることに。 「パナレアはベッドカバーやテーブルクロスに厚さがちょうど合うかしらと。スキバレンはブラウスやワンピースなど初夏の 軽やかさが風に揺れるようで、素敵。カーテンクロスなど、生活のあらゆる場面に使ったら、初夏の明るい陽射しのよう…」。




生地が決定したら、いよいよプリントです。
染めは、京都の染工場で行われました。



生地には型で色をつけていきます(捺染)。 台の上部に使用色一色ずつに分かれた型をセット。 その下を生地が流れて、一色ずつ染色されていきます。





捺染後は乾燥させて、蒸し機へ。染料を発色させます。
天然繊維は温度、湿度で発色、色合いなどが微妙に変わってきてしまいます。そのため、指示色通りに色目を合わせることは難しいことなのだとか。





蒸しあがったら、糊を洗い流します。





蒸し洗いで縮んだ生地をテンターという機械で、調整します。





調整された生地を巻き取り、反物に。


こうして、プリント生地が完成しました。





限られた数の色で原画の雰囲気を表現しなければならないこと、 また実際に生地にのせたときの色合い、濃度の調整に苦労されたのだそう。 その職人さんの努力が実を結んだようで、生地を手に した永順さんは「美しいプリント生地に仕上がって、夢のよう」 と感激。
早速、バッグやエプロンを仕立てたそうです。 (近々、リネンバードでお披露目されるそうですよ)




花の愛し方は、花束やアレンジにするだけではなく その姿を描くこと、布にして暮らしをともにすること 色々な方法があるのだと、永順さんの布は教えてくれます。 暮らしの中に溶け込んだ花たちは、美しい姿のまま いつまでも咲きつづけることでしょう。


高橋永順さんのプリント生地は、こちらから。