15.05.29
こんにちは。サポートスタッフのひいらぎです。リビングの窓をあけて降り注ぐ金色の光、爽やかな風。ツヤツヤの新緑に触れながら近所を歩く散歩 ーーー 緑とともにある暮らしに心から感謝する月が、5月をおいてほかにあるでしょうか。「ワイルドな自然を好む人が好きな庭園とは違うかもしれないけれど、私は好きだから」そう誘ってくれた友人と、富士山の麓にある「クレマチスの丘」を日帰りで旅してきました。現地集合の約束をして、平日朝の通勤電車から東海道本線へ。やがて車窓の外には初夏の海がひろがります。
■ 緑の楽園
庭の土のないマンション暮らしで楽しんでいるのは、
ベランダや玄関先のポット植えによる小宇宙の庭。
その反動でしょうか、新緑が美しい春から初夏にかけては、
スケールの大きな緑を眺めたくなって、電車や車で小旅行に出かけます。
私鉄から東海道本線に乗り換えて2時間弱、
ちょっとレトロな街の風景や山の緑、ダイナミックな富士山の姿に
ワクワクとしていると、まもなくJR三島駅に到着しました。
友人のブログにたびたび登場していた「クレマチスの丘」、
初めて訪れる場所に期待がふくらみます。
エントランスからゴルフ場のように広がる一面の芝生を見下ろすと、
彫刻を中央に置く睡蓮の池があり、
それを囲む小さな丘や樹木の足元には満開のクレマチス。
ここには200品種、2000株と、四季折々の植物が
ていねいに生育・管理されており、
季節のある庭として訪れる人を魅了しています。
そしてクレマチスに負けないぐらい美しく、香しく咲いていたのが
バラと芍薬。庭園には、水路花壇のエリア、ホワイトで統一したエリア
など、デザインの創造性が感じられ、2、3種類をうまく混植させたり、
下葉と組み合わせたり、自然の素材でつくったフェンスにからませたり
と、わが家の小さな庭にも参考になるアイディアがたくさんあって、
小さな園芸家の私はとても刺激を受けました。
さわさわとした木の葉の音や鳥の声を聴きながら、
ここでは時間がゆっくり過ぎていきます。
すこし歩いて撮影し、おしゃべりしながらのランチ、吊り橋や林を散歩し、
のんびりと木のベンチに座ってゆっくりと風に吹かれる。
カフェやレストラン、園芸の専門書を扱うブックストアも敷地内にあるので、
植物が好きな人なら何時間いても飽きません。
芝生や樹々の緑と、その向こうに続く山の景色を眺めながら、
心からくつろぐことができました。
■アートにくつろぐ
園内には彫刻庭園美術館、写真美術館もあり、
吊り橋のある散歩道の先には美術館や文学館なども併設されています。
彫刻美術館では、ちょうどクリスティア―ネ・レーアの「宙をつつむ」という
美術展が開催されていました。こちらも植物好きにはたまらない展示。
無機質なコンクリート壁に大きな窓から光がさしこみモノクロのアートを描く
美しい館内に、自然のモチーフを繊細に表現した植物のアート作品が
静かに並んでいます。館内撮影がゆるされているのもいいですね。
■ 庭は心の椅子
庭とアートの楽園で楽しむ緑は、日常で味わう緑とはまったく違うもの。
ふだん乗らない電車で、少し遠出をして庭園や美術館に行ってみること、
日常から距離を置き季節を味わう時間、そんな日常のなかの非日常を、
これからもずっと大切にしたいと思います。
「庭は心の椅子。庭は見るだけでなく、滞在して楽しむのが英国式」
――― ガーデンデザイナーのポール・スミザーのそんな言葉を思い出す
場所でした。
小さな非日常の旅、次は6月初旬の予定です。