フランスルーアンの街で服づくりをするデザイナー、
ソリアノ綾佳さんからのお便りをご紹介します。
ルーアンは、パリから電車で1時間ほどの場所にある街。
この街でソリアノさんは自身の目で選んだリネンで服を仕立て、
年に一度リリース。エンベロープでもその作品をご紹介しています。
ソリアノさんについての紹介記事はこちらから »
2025.10.10
先月は夏から秋への移ろいをぼんやりと感じていたところでしたが、
うかうかしていると秋は駆け足で過ぎていきそうです。
四季は1年をだいたい四等分して巡るものと思っていたけれど、
こちらの場合は長ーい冬とその他の季節がちょろちょろっとある、
そんなふうに思います。
このごろは犬と森へ行くと、イガがパッカリ開いた栗やナッツ類、
落ち葉の絨毯から顔を出したキノコなどを見つけることができ、
散歩のついでに食べられる物探しをするのが楽しみです。
毎日刻々と変化する自然界では、まさに実りの秋が
真っ最中なんだと肌で感じてます。

ノルマンディは朝晩の気温が10℃を下回るほどで、
すぐそこに次の季節がスタンバイしていますが、
日中は過ごしやすい気候の今は蚤の市が盛んに
開催されるシーズンでもあります。
古物市にもいくつか種類があって、歴史あるアンティークなど
を販売する蚤の市、こちらはブロカント(Brocante)や
ピュス(Puces:フランス語で蚤)と呼ばれるもので、
その道のプロの方たちが出店しています。
年に何回か大きな催事として開かれることもあれば、
毎週決まった曜日に開催しているところもあります。
物価高の影響で最近は値段が上がっているようですが、
素敵なものが見つかるのでブラブラするだけでも楽しいです。
一方で、一般の方達が家庭の不要品を売るフリーマーケットもあります。
こちらは秋に多く、ヴィッド グルニエ(Vide-greniers)、
もしくはフォア ア トゥ(Foire à tout)といいます。
出展料を払ってご近所さんたちが通りにスタンドを出しており、
ガラクタも多いですが値段がお手頃なので掘り出し物があるとラッキーです。
ENYOで使うアンティークリネンやボタンは、
ここに行けば必ず手に入る!というわけではなく、
こうした古物市を地道にチェックしながら集めています。
今日は地元の蚤の市へ探しに行きました。
まず早速目についたのが、大きな陶器の洗面器。
クマちゃんが居心地よささそうにしている姿も可愛くて眺めていると、
「ちょっと欠けているからひとつ5€にしとくよ」とムッシュー。
お安いとは思うけれどとても大きいので、
使い道がすぐに思いつかない物は置き場所に
困ると判断し断念しました。


お次はブリキの駅舎と郵便局に目を奪われました。
子供用の玩具でしょうか?
かなり錆びてはいますが、飾り棚に置いたらよさそうだと思い、
値段も含めこちらがどういったものなのか話を聞きたかったのですが、
待てど暮らせどお店の人が帰って来ない……
これも蚤の市あるある、ご縁がなかったと思うことにして先に進みます。

探し物と全然関係ないものばかりを寄り道しましたが、
ようやくここで手芸用品のスタンドに。
生地もボタンも気に入ったものはなかったのですが、
美しいモノグラムやレース柄のスタンプがありました。
刺繍の下絵に使うのだそうです。
クロスステッチは方眼紙に図案を書きますが、
そうか、生地に直接下書きをして刺繍する際は
こうしたスタンプがあると手書きよりもきっと正確ですね。
交渉してまけてもらい、ひとつ4€で購入しました。
手仕事好きの友人へのお土産にします。

収穫があるとより楽しいけれど、何もなくても物の背景を
教えてもらうことでいつも新たな発見があるのが
蚤の市の面白さだと思います。
来週はどこを探索しようかな。

ENYO ソリアノ
http://laviedenyo.blogspot.com/