フランスルーアンの街で服づくりをするデザイナー、
ソリアノ綾佳さんからのお便りをご紹介します。
ルーアンは、パリから電車で1時間ほどの場所にある街。
この街でソリアノさんは自身の目で選んだリネンで服を仕立て、
年に一度リリース。エンベロープでもその作品をご紹介しています。
ソリアノさんについての紹介記事はこちらから »
2025.12.17
一年の締めくくり、12月はいつもの街並みが
お化粧をしたみたいに華やかな顔立ちになって、
まるで違う場所のようです。

この街にやってきたのが17年前(!)の冬が始まった頃で、
来て間もなくノエルでしたから、初めて目にするフランスの
きらびやかな景色に心を奪われ、
今でも毎年童心に帰って浮かれています。
それにしたって毎回同じような写真ばかり撮っているので、
このアトリエだよりでもマルシェ・ド・ノエルの様子を
何度も御覧いただきましたね。

ルーアンはカテドラル前の広場を中心にこの季節限定の
マルシェが立ちますが、風に乗ってスパイスの甘い香りが
漂ってくるとつい釣られて来てしまいます。
正面広場にメインの大きなツリー、そしてカテドラルの脇側には
木製の古いメリーゴーランドが設置されています。

このメリーゴーランドは今も昔も子どもたちに大人気です。
夫も小さかった頃に乗ったことがあるそう。
暗闇に浮かぶ暖色の光が幻想的で、きっと木馬に乗って
見える景色はさぞかしきれいだろうとは思うけれど、
今のところは外側から見つめるばかりです。
心の声が漏れていたのか、気にせずあなたも乗ったらいいのにと
友人が言うので、人が少なかったら次は勇気を出して
乗ってみようかなと思っています。
さて、刻一刻とノエルのXデーが近づいてまいりました。
こちらへ嫁いでから、最初の頃は親族に招待される形で
準備してもらった美味しい食事をいただくだけ、
そのうち一緒につくるようになったり、担当する料理ができたり、
そんなふうに少しづつお客さんのような立ち位置から
即戦力とまではいかないけれど
調理メンバーとして認められるようになりました。
嫁暦もだいぶ長くなりましたので、本来であればおそらく
遅すぎるくらいですが、ついに今年はメインを私がつくることに……。
自分も歳をとったように、家族も高齢になるのだから
いつかそんな日が来ることはわかっていましたが、
これを身内が誰も読んでいないことを願って小さな声で正直に言うと、
荷が重いです!
料理は好きです。
でも、おそらくそんなに上手ではありません。
みんなが美味しいと言って食べてくれるもの、家族に
相談しながら何をつくろうか毎日あれこれと考えています。
これまで義母や親族たちがやってくれたように、
今年も楽しいノエルだったね、たくさん食べたね、
と思ってもらいたいです。
ただ純粋にサンタクロースからの贈り物を待ちわび、
メリーゴーランドを楽しむ子供たちが今はちょっと羨ましいですが、
がんばろうと思います。

2025年もこのアトリエだよりを読んでくださり、
ありがとうございました。
暖かくして年末年始をお迎えくださいませ。

ENYO ソリアノ
http://laviedenyo.blogspot.com/