バカンスシーズンが始まり、フランスの夏らしい穏やかな空気が流れています。
普段どおり働いている人たちもどこかリラックスモードでご機嫌が良く、
1年中こうだったらいいのになと思います。
ノルマンディは真夏でも比較的過ごしやすいのですが、
先月「フラックスの花が咲きました」とお知らせしたあたりは珍しく猛暑続きでした。
そのせいか例年以上に開花の季節が短く、あちこちで見られた青い花畑は
あれからすぐ種を収納するカプセル ”シードボール” が実る緑色の畑になりました。
収穫時期もやはり早まり、本来ですと花を終えてだいたいひと月後の7月中旬頃に行いますが、
6月の終わりに済ませた畑も多く見られました。
▲先端にシードボール。これはだいぶ熟れた状態でもうすぐ収穫の頃
現在、ノルマンディの畑は ”浸水” の段階にあります。
フラックスはお米のように刈り取るのではなく、
根っこから引き抜いて収穫をし、そのまま大地に寝かせます。
これは土中のバクテリアが茎を食べ発酵させ、
表皮から繊維を取り出しやすくするための作業で、
昔は川の中に浸して行っていたことから今でも浸水と呼ばれています。
▲浸水中。回収まで数週間こうして寝かされる
こちらのお祭りは布や糸を作品に使用しているアーティストたちを招待し、
村の教会などで展示をしています。
クチュールの要素がある作品は、現代アートは難しいなと感じることがある私でも
気負いなく楽しめました。
▲展示会場の教会内にはフラックスのブーケが飾られていた
パリ在住の日本人アーティスト
Koga Riekoさんの作品「La forêt d’amour」(愛の森) は
美しい教会の中にありました。
インディゴの藍とLOVEの愛、どちらも日本語で ”あい” と言うことから発想し、
藍染した小さな布を沢山吊るし青い空間を表現されています。
雨が降っているような、もしくは海の中にいるような、
そういえばフラックスの花畑のようでもあるな、と想像して見ることができました。
▲「La forêt d’amour」
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ENYO ソリアノ綾佳