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18.08.03
《つくり手ファイル》“花が好き”をかたちに/deuxR渡部裕美さん
リネンバードホームで行われたdeuxRの企画展を、8月3日(金)エンベロープオンラインショップでも開催します(※こちらのイベントは終了しました)。今回は受注商品を含むナチュラルな色使いのドライフラワーのリースや、植物標本ボタニカルボトルをご紹介します。つくり手の渡部裕美さんのご自宅兼アトリエを訪ねて、お話を聞きました。
■唯一、変わらなかった“好きなもの”
幼いころから花好きのおばあさまの影響で生け花を習い、花のある環境で育った渡部さん。
「ほかの習いごとは飽きてしまっても、花だけはずっと好きなものとして変わらなかったの。今でも作品をつくる前のわくわくはなくならない。やっぱり好きね、根っからの花好きだと思う」
高校生の時に生け花をやめて、一度花とは無縁の生活に。
でも結婚後に携わったドライフラワーのアレンジの仕事をきっかけに、その魅力に惹きつけられ、本を買って自分でつくることをはじめます。
「色がゆっくりと変化していく様子を楽しめるドライフラワーは、自分で乾かしたりつくったりする手工芸的な感じが気に入ってはまっていったのかな」そう話す渡部さんは、独学で勉強された後さらにフラワースクール(生花)で今でも学び、知識を得ています。
■ドライフラワーの豊かな表現
仲間と営んでいたドライフラワーとリネンと雑貨を扱うお店を惜しまれながらも閉じることになり、そのタイミングで独立。自宅をリノベーションしてアトリエをつくり、「deuxR(デュエール)」として活動を開始しました。
リースづくりからはじまり、今ではいろんなバリエーションの作品があります。
イメージづくりを大切にしながら、つねにアンテナを張って日常の発見をそのまま作品へとつなげていく渡部さんは、オリジナリティを出すことを大切に、「つぎにまた新しいことに出合えたらいいなとは思ってるかな」と話します。
■素材とともに暮らす
渡部さんの生活の中でドライフラワーを飾ったり、どのように暮らしに取り入れているかを尋ねると、すこし想像とちがう応えがかえってきました。
「自分用にリースやアレンジメントを残すことはなくて、それよりもつくることの楽しさ、教えることの楽しさの方が…これだけ長くやっていると逆に生活には取り入れられない。だから、おもてなしの時をのぞいて部屋に飾ることはほとんどないんです。わたしはこの天井から吊るされたドライだけで十分!」
大きな窓から桜の木が望めるリビングとそのとなりの花の部屋を遮るものはなく、さまざまな種類のドライフラワーに満ち溢れています。飾らなくても、すでに素材が暮らしの一部になっているからこその言葉なのでしょう。
「さぁ、つくるぞ!という日の朝はいつも心躍ります。つくるだけの時間は何年経っても好き」
渡部さんの手からうまれる作品のひとつひとつは、自然な色の美しさと可憐な佇まい。つくり手の楽しさまでもが伝わってくるような存在感です。
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