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25.12.09

《つくり手ファイル》人生に寄り添うジュエリーづくり/cobaco

マリッジリングやベビーリング、そして誕生石をテーマにしたリングなど、人生の節目に寄り添うものづくりをデザインするcobaco。小さく繊細なジュエリーがもたらす可能性を探求しながら、身に着ける人の物語を静かに見守る装身具として、ひとつひとつ形にしています。

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■想いを刻む、誕生石リング

スタッフのひとりに家族が増えた——そんな朗らかな出来事が、cobacoさんをご紹介するきっかけになりました。

「誕生石を選んでリングをつくってくれるブランドがあるんですよ」と教えてくれたそのスタッフは、自身と夫、そしてお子さんの誕生石を並べたリングをオーダーしたいと楽しそうに話してくれました。

そんな話をきっかけに、他のスタッフも「自分ならどんな石を選ぶ?」「配置はどうしよう?」「刻印は何にしよう?」と話が広がり、ひとしきり盛り上がりました。

誕生石に込められた意味を読みながら、「この言葉、自分にぴったりかもしれない」と思わずうなずいてしまう、そんな場面もありました。

▲こちらがcobacoの誕生石リング。デザインや石や地金の種類を選びながら、自分だけのリングがつくれるんです

自分や大切な人の存在をそっと刻み込む、「選べる誕生石リング」。そのつくり手であるcobacoに制作のきっかけをうかがうと、こんな答えが返ってきました。

「『誕生石』の起源は、旧約聖書に行き着くともいわれています。
ヨーロッパを中心に長い時間をかけ、さまざまな思いに寄り添いながら、今日まで愛され続けてきた文化なんです。

でも当時の日本では、誕生石を自由に選べるサービスやアイテムを展開しているジュエリーブランドはほとんどありませんでした。

せっかく素敵な文化なのにもったいない——そう感じて、15年前にこのコレクションをはじめました」

幸せを運ぶお守りとして、はるか昔から大切にされてきた誕生石。

ひとりひとりに寄り添うパーソナルな魅力もあり、コレクションを始めたころからさまざまなリクエストが寄せられます。

「当初は選べる石は3つまで、デザインも1型だけという、小さく素朴なスタートでした。

そこに『家族の人数に合わせて石数を増やしたい』『自分のサイズでつくりたい』『組み合わせのイメージを事前に見たい』といった声が重なり、いただいたリクエストに応えるかたちで、少しずつ今の姿へと育っていきました」

■二人が描く心地よい輪郭をかたちに

cobacoは、デザイナーの小林さや香さんと夫・直剛さんによるブランドです。

さや香さんは宝石商の家庭で育ち、デザインの専門学校を経て就職。その後、直剛さんの仕事の都合で東京に移り住んだことをきっかけに、2010年にオンライン専門ジュエリーブランド「工房cobaco」を立ち上げました。

7年前には直剛さんが正式に加わり、代表兼ディレクターに就任。ブランド名を「cobaco」と改め、夫婦でブランドを再スタートさせます。

「デザインは持ち寄ったアイデアをもとに、二人で話をしながら、手を動かしながら考えていきます。

そのうちおぼろげに輪郭のようなものが見えてくるんです。ラフを何パターンも描いて解像度をあげ、自分たちが心地よいと感じるかたちを見つけていきます」

■0.1㎜単位で追求する、繊細さと静謐さ

制作は、ジュエリーの一大産地・山梨県甲府の工房で行われます。

熟練の職人がひとつひとつ緻密に仕立て、連綿と受け継がれた技術を生かしてcobacoのジュエリーを完成させています。


cobacoのジュエリーは、小さくてとても繊細。そしてそれがブランドの核になっています。

単にサイズを小さくするのではなく、さまざまなアプローチで繊細さを追求。各パーツの長さや幅を0.1mm単位で調整し、無数の可能性の中から「心地よいかたち」を探り当てる作業を重ねています。

「立体として仕上がったときに自分たちが『身につけたい』と思えるクオリティになるまで試作を繰り返しています。

なので、あと一歩のところで販売を断念したアイテムも数知れずあるんですよ」

■小さな装身具がもつ、大きな可能性

cobacoの作品には誕生石リングやブライダルリング、ベビーリングなど「家族」を感じさせるテーマが多く見られます。

「ラインナップについては、気がつけば自然とこうなっていたというのが正直なところです。

ただ、『パートナーに出会い、結婚し、子を授かり、家族になっていく』——そんなお客様のライフストーリーにずっと寄り添えるブランドでありたいという思いは、頭の片隅にあったように思います」

パートナーへのリングのプレゼントからはじまり、婚約・結婚指輪、さらにはベビーリングへとつながっていく——ひとりのお客さまと長い時間をともにすることも少なくないそう。

そんなエピソードをうかがうと、ジュエリーとは人生の節目にそっと寄り添う存在なのだと、あらためて感じます。

小さく繊細な佇まいでありながら、照らしうる景色は大きく、そして広い。小さな美しい装身具がもたらす可能性をcobacoのお二人は丁寧に探りつづけています。

お客様の元で「うつくしい日々の予感」が育まれていく——その時間を見守りながら、ものづくりは静かに続いていくのです。

写真提供:cobaco(2、8枚目をのぞく)

カテゴリ:エンベロープセレクト, つくり手ファイル

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