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23.12.25
《パタンナー座談会》リゼッタ今季のアイテム、気になるものや服づくりのお話
リゼッタの秋冬コレクションのご紹介が終了しました。みなさま、気になるアイテムはありましたか。今回はリゼッタのパタンナーに、今季の気になるアイテムや服づくりのお話を聞きました。
■つくる人だけが知っている、洋服のこぼれ話
デザイナーのイメージをかたちにするパタンナーの仕事。リゼッタでは3人のスタッフが担当しています。みんな社歴が10年以上、リゼッタの服づくりを支えています。
エンベロープ「今季もいろんな洋服をご紹介しましたよね。思い出深いアイテムはありますか」
やべ「私はジャケットのアルフレッド。リネン・ウール素材なのですが、デザイナーからもっとくったりとこなれ感がほしいという希望があり、製品になってから洗いをかけたんです」
いしかわ「ジャケットはあまり洗いをかけないものですよね」
やべ「そうなんです。形が崩れてしまうので心配もありましたが、ちょっと着古した雰囲気にしたいというリクエストに応えるため、身頃の裏地を製品洗いに耐えられるコットンにしたり、仕様や素材選びに注意しました」
エンベロープ「ふわっとやさしい表情になってます。ジャケットだけどかっちりしてないからコーディネートに取り入れやすそう!」
やべ「私も着てみて便利だなと感じました。
くったりとした風合いだからシワが気にならず、持ち運びも安心です。ちゃんと仕上がるかドキドキしましたが……」
さとう「私はワンピースの『ナンシー』です。若草物語のようなクラシカルな服を今の時代に合うようデザインした1着です。
タックがふんだんに入っているから可愛らしいシルエットになっているのですが、この細かいタックは国内の縫製工場さんが柄を追いながら1本1本丁寧に取ってくれたものなんですよ」
いしかわ「ナンシーは柄出しにこだわっていましたよね。ジャカードの模様がきれいに出るよう、タックの幅も考えながらトワル(試作)をつくっています」
エンベロープ「確かに!柄がきれいに見えるように折りたたまれていますね。細かくて気が遠くなりそう」
いしかわ「私はプリーツとティアードのリバーシブルスカート『アンネッテ』です。
一般的にプリーツスカートは裾上げをしてからプリーツをかけるのですが、アンネッテはプリーツをかけてから裾上げをして裾が広がるようにしています。リバーシブル側をティアードスカートにすることで自然なAラインをつくっています。
プリーツの分量決めが意外と難しくて、プリーツ屋さんとやりとりしながらパターンをつくりました」
やべ「リゼッタのプリーツスカートは、きっちりかっちりしてないのが特徴ですよね」
エンベロープ「ポリエステル100%ではなく、コットン×ポリエステルが使われているところもリゼッタらしいです。
以前デザイナーが、ポリエステルが入ってないとプリーツ加工が取れてしまうのでコットン×ポリエステルを使っているけれど本当はコットン100%でつくりたいと言ってました」
いしかわ「もう一つがこちらのコート『オレリア』です。
上身頃に岩手県のホームスパンの生地、下身頃はキルト生地を使用したコートで、最初は切り替え部分で取り外せるデザインだったんです」
エンベロープ「新鮮なデザイン!」
いしかわ「結局それはやめたのですが、どこで切り替えるかデザイナーとバランスにこだわりました。
去年から手掛けていたこともあって思い入れがある1着です」
■自分でも欲しいアイテムは……?
エンベロープ「お買い物したいアイテムはありますか」
いしかわ「ちょうど先日ジャンパースカートの『ブリッタ』を購入しました。ゆとりのあるAラインだから着やすいんですよ。ウールリネン素材で裏地がついているのですが、軽いんです」
エンベロープ「中に着るものを選ばず便利ですよね。お客様にも人気です」
いしかわ「ニットとも合わせやすいので、一緒にコルルール・トリコを買いました」
さとう「私はリネンウールのジャケット『フランソワ』が気になっています。リボン留めだからラフに着られるんですよ。郵便屋さんのバックのようなポケットも可愛いなと思って」
エンベロープ「フランソワは中綿が入っているのにモコモコしてなくて、太って見えないのがよいです」
さとう「よかったです。中綿はさりげなく入っていて、着るとあたたかい感じを目指したんです。
中綿でボリューム感が変わるので毎回何gにしようか検討して、迷ったときは部分パーツをつくって最終決定しています」
やべ「年明けに七五三の予定があるので、何を着ようか考え中なのですが候補のひとつが『エミリアーナ ブラン』です」
エンベロープ「ボウタイのブラウスですね」
やべ「そうです。リボンの結び目になるところが太くなっているので襟元が華やかになるんですよ。このブラウスにノーカラーの黒いジャケットを合わせようか考えてます」
さとう「フォーマルな場にも着られるブラウスなんですけど、コットンが入っているんですよね」
やべ「そうなんです。普段の日も着られるのが魅力です」
■服に名前があるのにびっくり、リゼッタの服づくりのこと
エンベロープ「3人とも以前は違うブランドで服づくりをしていたんですよね。入社してどうでしたか」
いしかわ「ひとつひとつの商品に名前がついているのに驚きました」
さとう「普通は品番だったり商品の特徴の名前だったりしますよね」
エンベロープ「外国の女の子の名前がつけられてますよね。服への愛着を感じます」
さとう「私はリネンが好きで入社したのですが、やっぱりリネンっていいなってなおさら思うようになりました。リゼッタの使う素材はどれも上質なものなので」
いしかわ「そして生地を贅沢に使いますね。着丈も長いし、裾巾も生地幅が140㎝なら前スカートで140cm後ろスカート140㎝といった感じで生地幅いっぱいに取ることも。無駄なく使ってます」
やべ「ほとんどの服を日本の縫製工場でつくっているのも特徴的。私達が直接工場とやりとりしているので、近い距離でものづくりをしている感じがします」
エンベロープ「工場ともそうだし、デザイナーとの意思疎通も大事な仕事ですね」
さとう「デザイナーの好きなものやこんな感じだなっていうのは汲み取れるようになりましたが、はじめのころは手探りでした。意図するイメージのものができたときはよし!ってなるんですよ」
いしかわ「意思疎通ができていなかったり、お互いに迷いがあったりすると迷ったかたちができてしまいます」
エンベロープ「ということは、つくられなかった服もあるんですか」
いしかわ「ありますね。デザイン変更になったり、サンプルで中止になることも」
やべ「トワルといえば前の会社ではピン打ちだけだったんですけど、リゼッタでは丸縫いしてモデルに着せてトワルチェックをしますよね」
さとう「そこは時間をかけていますね」
いしかわ「前職でもトワルを100%縫うっていうのはやっていなかったな。とても丁寧だと思います」
エンベロープ「私たちお店のスタッフはできあがった状態しか知らないけれど、さまざまなことを経て商品になるんですね。仕事でどんな瞬間がうれしいですか」
いしかわ「自分の子供じゃないですけど、やはりどれも完成したらうれしい。それが売れてくれたときにさらに喜びを感じます」
さとう「私も、絵型をもらってトワルをつくって、いろいろな問題を解決しながら最終的に商品になったときによかったなって思います。ああ、ここに落ち着いたんだなって。
私たちはお店に立つこともあるのですが、そこでお客様の声を直接聞けたときもうれしいですね」
カテゴリ:リゼッタ