ただくりぬいただけ、石のようだった貝が、いくつもの工程を経て、最後につやつやのボタンになっていく。それはまるで、原石が宝石に磨き上げられる様子を見ているようでした。
そして、さっきコンピューターで制御されたレーザーの機械を見たのに、次の工程では年季の入った古い木の樽や籾が登場するなど、ハイテクと昔ながらの手法をうまく共存させながら作られていることに感心。また、何よりも印象深かったのは、どの工程にも必ず人の目と手が加わっていたことでした。
まさに貝ボタンは、受け継がれた知恵、そして手間と技術の結晶。そう思うと、とてもぞんざいには扱えなくなって、いとおしささえ覚えてきます。
伴井さんは、
「最近は、洋服に携わろうとしている若い人たちでも、貝ボタンを知らなかったりするんです。だから、服飾系の専門学校で講演するなどして、こっちから広めていかないといけないなと思ってます」とも話してくださいました。
見た目が美しいだけでなく、こんなにたくさんの職人さんたちの目と手を通して生み出される貝ボタンには、丁寧にきちんと作られたもののよさがあります。そんなものを身に着けると、ちょっと心が豊かになる気がしませんか? |