15.07.10
今年の梅雨は長く感じますが、真夏よりはむしろ今の方が過ごしやすいと、駆け込みの雨散歩を楽しんでいます。「いつもと違う曲がり角を曲がればそれで旅」。リゼッタの自由が丘のお店とアトリエの間あたりを歩いて、そんなことを思いました。
■ 自由が丘と奥沢の間の寄り道
自由が丘の駅から自由通りを奥沢駅に向かっていくと、
少しして地元の方々が日曜礼拝に集まる奥沢教会が左手にあらわれます。
いつもは自由通りをひたすら真っ直ぐ歩くのですが、
引き寄せられるように教会のある通りを入ってみました。
一本脇道に入ってみると自由が丘駅近くとは思えないほど静かな住宅街。
古くからのお屋敷やモダンな豪邸も多いのですが、
三角屋根の素朴な平屋がぽつぽつと残っています。
これらは大正から昭和の海軍村の名残りなのだそうです。
■ 子どものころの記憶がよみがえって
「ねえ、アメリカ行こうよ。」
奥沢の話ではありませんが、まだ自分が小さかったころ、
家から歩いて20分ぐらいのところに自衛隊の駐屯地がありました。
近所の子どもたちで(勝手に)アメリカと呼んでいたのは、
その駐屯地(返還前は米軍の基地)のこと。
4つ年上の姉と友だちに子分のように従えられて、
ときどき“アメリカ”への冒険旅行を楽しんでいました。
金網に空いた穴をくぐって、当時はすでに空き家となっていた
米軍ハウスに忍び込んだりもしたのですが、
海軍村の家々を眺めていたら、
そんな昔の憧憬が次々と思い起こされました。
朽ちかけたハウスの中で目にした洋式のバスタブやトイレ、
大好きだった「奥さまは魔女」に出てきそうな
おしゃれなキッチンに、それぞれが、はぁ~とため息。ふぅっと深呼吸。
子ども心にどきどきが静まらなかったのを覚えています。
1970年代、あのころ外国はまだまだ遠い憧れだったんですね。
気まぐれな雨の日の道草。
ちょっと横道に入っただけなのに、懐かしさに触れて、
日常の外に飛び出した気分を味わえました。
身近な所にも楽しみは潜んでいるんですね。