フランスルーアンの街で服づくりをするデザイナー、
ソリアノ綾佳さんからのお便りをご紹介します。
ルーアンは、パリから電車で1時間ほどの場所にある街。
この街でソリアノさんは自身の目で選んだリネンで服を仕立て、
年に一度リリース。エンベロープでもその作品をご紹介しています。
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2026.2.04
冬の間は雨ばかり降るノルマンディにしては珍しく、快晴だった元日。
まるで日本のお正月のようだと晴れやかな気分でいたのですが、
3日の朝はカーテンを開けたら一面銀世界でした。
気温が低い日に雨がところにより雪に変わることはあっても、
積もることは滅多にない地域です。
誰の足跡もついていないうちに愛犬の反応を写真に収めたくて、
家族揃って朝の散歩に行きました。

▲珍しい雪に尻尾ブンブンではしゃいでいた犬
あぁそうでした、この時はまだ美しい雪景色と新年の幕開けに浮足立っていたのです。
すぐに溶けるだろうと思っていた雪は気温が上がらないまま凍り、
翌日もその次の日も降り続きました。
雪国の人には笑われてしまうでしょうが、
雪に慣れない地域ではほんの数センチ積もっただけでも交通網が麻痺し、
人も犬も(!)足元がおぼつかなくなります。
休暇を終えて家族が仕事始めをするはずだった日、
バスも電車もみんな止まってしまいました。
そんな中、この辺りのほとんどの自家用車は
スタッドレスタイヤを履いていないのだそうで、
地面がこれだけツルツルなのに
無理やり車を出すものだから恐ろしいのなんの!
初雪の日にはあんなに楽しげだった愛犬も早々に雪に飽きて、
窓から外を覗いてテンションが下がっていました。
そしてようやく雪が溶け出し地面が見えてきた頃、
携帯電話に政府から一斉に強風のアラートメッセージが届きました。
最大風速100m/sを超える予報が出ており、
外出を控えるようにという注意と
学校など公共機関の閉鎖が知らされました。
経験のない強風警報に身構えたのと同時に、
日本の緊急地震速報のようなシステムが
フランスにもあっただなんて、と驚きました。
夜中にピークを迎えた嵐が去り、
幸い我が家に被害はありませんでしたが、
近所ではあちこちで倒木があり撤去作業が行われました。
……と、まあ、なんだか荒々しく始まった2026年、
現在は忙しなくも平和な日常を送っております。
目標もやりたいこともそれなりにはありますが、
普段通りに生活を送れることが何よりの望みだなと思うのです。
不安が多いこのご時世に先のことはどうなるかわからないけれど、
日々の小さな楽しみがあって、
機嫌良く過ごせるのなら充分上出来でしょう。
私のここ最近のお楽しみは、1月にしか買えない
ガレット・デ・ロワの食べ比べです。

▲中身はフランジパンヌと呼ばれるカスタードとアーモンドクリームが混ぜられたもの。濃厚で重たいデザートです
この伝統菓子はフェーブという陶製のお人形が中に隠されていて、
切り分けられた自分のパイに入っていた人は
この1年幸福でいられる、といった
謂わばおみくじのような運試しのお菓子です。
本来は複数人で食べるものですが、
最近は1人用(もしくは2人用)が売られているので、
評判を聞きつけては試しています。
有名店のものも美味しかったけれど、
ガレット・デ・ロワに関しては住宅街にある、
そこに住んでいる人しかお客さんが来ないような
庶民的なお店のものが素朴な味わいで好きでした。

▲2人用にはフェーブも入っていました。この子はジンジャーブレッド?
バターもお砂糖も想像したくないほどの量を
たっぷり使っているでしょうから、これはもうそろそろおしまいにして、
食べること以外に楽しみを見出さなければ。
年末からのご馳走続きで身体が重くなった気がしています……
どうか気のせいであってくれ。
この1年もみなさまに御多幸がありますように。

▲干支の馬が駆け出す様子

▲ここノルマンディ地方が原産のペルシュロンという馬だそう。いつかの夏に修道院で出会いました
ENYO ソリアノ
http://laviedenyo.blogspot.com/