フランスルーアンの街で服づくりをするデザイナー、
ソリアノ綾佳さんからのお便りをご紹介します。
ルーアンは、パリから電車で1時間ほどの場所にある街。
この街でソリアノさんは自身の目で選んだリネンで服を仕立て、
年に一度リリース。エンベロープでもその作品をご紹介しています。
ソリアノさんについての紹介記事はこちらから »
2015.7.17
青い小さな花をつけてから約一ヶ月後、シードボールが熟し、リネン畑が金色になりました。
収穫の時期です。
フラックスの収穫はお米のように刈り取るのではなく、根っこごと引っこ抜きます。
引っこ抜いたフラックスはそのまま土壌に寝かせ、太陽のもと、雨風に晒します。
こうすることで土中のバクテリアがフラックスを食べて分解され、
表皮から繊維を取り出しやすくなるのだそうです。
この工程をフランス語で “le rouissage”、”浸水”と言います。
かつては川の中に浸して行っていたことから、今でもこう呼ばれています。
ようやく収穫されましたが、回収して工場で糸になるまでにはもう何週間かかかります。
また、フラックスは5~6年周期の輪作を行います。
その理由は収穫で根ごと抜き取る際、土の中に根っこのくずやバクテリアが残るのだそうです。
この状態で翌年に種を蒔いても、熟れないうちにバクテリアに食べられてしまい、大きく育たないとのこと。
リネン作りを追ってみると、その手間と時間のかかること、
そして広大な土地が必要だということを改めて感じます。
これはリネンに限ったことではありませんが、普段私達が何気なく使ったり食べたりしているものの全てが、
見えない誰かが何処かで汗水流して作ったものなのだ、ということを考えずにはいられません。