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19.02.08
〈家具のお話〉BILLIANI クロワッサンチェア
エンベロープではヴィンテージ家具を取り扱っています。昔使っていた人たちがどんな生活を送っていたのか思いを馳せ、“生活にとけこむ” 家具をセレクト。 その良さをより多くの方にお伝えできたらと、ヴィンテージ家具専任スタッフの「家具のお話」をお届けします。今回はイタリアの家具ブランド、ビリアーニ社のクロワッサンチェアについてーー
■椅子の町で生まれたデザイン
今回紹介するのは1911年に創業したイタリアの家具ブランド、ビリアーニ社のクロワッサンチェア。ダイニングチェアの名産地で「椅子の町」として知られる、イタリア東北部のウディネで生まれました。
“クロワッサン ” という名は、ひときわ目にひく背もたれの形が由来なのでしょう。柔らかなラインと存在感のある背もたれが絶妙なバランスを取ることで、高級感を損なわないやさしさを演出しています。
脚部の交差した貫が描く滑らかなフォルムからもシンプルなのにシャープすぎない、均整の取れたデザインが伝わってきますね。
両サイドまで回り込んだひじ掛けは一見ラウンジチェア(寛ぎ椅子)のようにみえますが、座幅が500mmもあるので座っていても身体に触れることはありません。
ラウンジチェアに座った時のようなホールド感はありませんが、動きの自由度が狭まることはなく、ダイニングチェアとして無理なくご使用いただけます。
■ゆっくりとダイニングで過ごす椅子
ひじ掛けの先端が(地面に対して平行ではなく)下がっているので、肩の力を抜いてひじをかけられるのもポイント。立ち上がるときやテーブルに寄せる時も役に立ちます。
座面は張り込みで柔らかくクッション性が高いので、食後もゆっくりダイニングテーブルを囲んで過ごす時間が増えそう。
張り替えに選んだ生地は、ベルギーリネンのブランドLIBECOの生地。光沢感のあるモスグリーン、縦糸がブラックで横糸がフラックスのブラックモザイク、モダンでシャープな印象のブラックと、深くて上品なブルーが特徴のネイビーの4色をご用意しました。
表情豊かなテクスチャーが、モダンなデザインに落ち着きのある雰囲気を添えています。
■安定した姿勢だからこそ感じる座りごこち
今回、このコラムの執筆にあたりクロワッサンチェアに何度も座ってみたのですが、書斎やリビングのコーナーに置いてもいいかもしれないな、と思いました。
身体の緊張をゆるめながらも集中したいときや、ストレスなく神経を研ぎ澄ませたいとき、たとえば、読書や音楽鑑賞を楽しむときにうってつけではないでしょうか。
禅宗の座法で「上虚下実」という言葉があります。腰や足にしっかり力が充満していて、上半身は脱力して力みがない、という意味ですが、上虚下実の状態が保てると身体が安定して疲れにくくなるそうです。
ふわふわのソファやリクライニング式の安楽椅子で休むより、上体の力みが抜けて安定した姿勢を保持できるクロワッサンチェアのほうが座っていてリラックスできる、かもしれませんね!
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