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18.10.22
《つくり手ファイル》つくるのは自分が欲しいものだけ。/デザイナー 山崎義樹さん
使う時に自然に背がすっと伸びてしまう、「なにがし」の真鍮のハンコと朱肉入れ。金属の重みと捺印することの重みがリンクするプロダクトの成り立ちについて、またブランドについてつくり手の山崎義樹さんに聞きました。
■超プライベートブランドだからできること
「なにがし」は、デザイナー山崎義樹さんの“超プライベートブランド”です。そのラインナップは、ハンコ、朱肉入れのほかカメラアクセサリー、グラス、トレイと様々ですが、全て山崎さんの個人的な思いから生まれました。
「つくるものは、僕が必要だと思ったもの」
「僕の家にあって、居心地がよいと思えるもの」
「欲しいと思うものがなければ、何もつくらない」
というなんとも明快なルールで、ものづくりをしています。
朱肉入れが誕生したのは、山崎さんがデザイナーとして独立した時。請求書など書類に捺印する時に「自分が使いたいものがない」ことに気付いたのです。
「責任を持ってちゃんとしたもので捺印したいのに、自分の空間に置いておきたいと思えるものがありませんでした。じゃあつくるしかないな、となったわけです」
それに合わせて使えるハンコもつくるために、選んだ素材は真鍮でした。
■各地の職人と手を組んで
実は山崎さん、真鍮鋳物メーカーの現場で働いていた経歴があります。
そのメーカー、富山県高岡市のFUTAGAMIとの出合いは、デザイナーから職人に転身させるほど大きなものでした。腰と首を痛めてしまい泣く泣く退職しますが、その後デザイナーとして独立してからもつきあいは継続。大事なハンコと朱肉入れの制作依頼先は、もちろんFUTAGAMIでした。
鋳造を終えたハンコと朱肉入れは、着色職人のもとで表面仕上げを施されます。さらにハンコは印章職人の仕事を経て、完成です。まさに職人技の集結。こんなにややこしい商品がつくれたのは、人との出会いに恵まれたからと山崎さんは振り返ります。
日本各地の工芸メーカーとともにものづくりをするので、その相手選びは重要なもの。
「これが一番難しいと思っています。結局僕はデザイナーなので自分でつくれないわけですからね。つくりたいものがあっても、つくってほしい人に出会えなければ無理につくることはしません」
■昔からの仲良しみたいに。
ものと使う人の関係について山崎さんは「転校生がやってきて、一緒に遊んで“何だか、昔から仲良しだったみたいだね”と思える感じに近いかも」と例えます。
つくりたいのは、10年後も使われるもの。そして、10年前からそこに存在していたような使う人の家になじむものです。
自分が使いたいものだけをつくるというのは、実は使う人のことをよく考えているということ。
みんなにほんのちょっとでいいから、ちゃんと幸せが届けられるように。そんな思いで、山崎さんはものをつくります。
■わたし印のセミオーダー Vol.3「nanigashi 真鍮のハンコと朱肉入れ」
エンベロープ名古屋とオンラインショップで、なにがしのハンコと朱肉入れの受注会を開催。2月上旬にお届けします。
●エンベロープ名古屋:2018年10月19日(金)~10月28日(日)
●エンベロープオンラインショップ:2018年10月24日(水)15:00~11月6日(火)15:00
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