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19.02.01
《つくり手ファイル》名前のないカシミヤセーター店/田中英樹さん
今回ご紹介するのはオンラインショップはもちろんウェブサイトも、ブランド名もないカシミヤセーターのつくり手、田中英樹さん。通常なら下調べをしてからお話をうかがうのですが、何しろ情報がありません。まっさらな状態だけど大丈夫かしら?と思いながら向かいました。田中さんを訪ねて、銀座のオフィスへ。(こちらの記事は2019年のものです)
2020年も開催!ご予約はこちらから
■カシミアのシェットランドが欲しかった
来年築90年を迎えるモダンなビルに入ると、そこには地下へとつづく坂道。暗がりの中でドアをあけたら一転、自然光が注ぐ明るい空間が広がります。
オフィスを兼ねた室内には、田中英樹さんのカシミヤセーターが並んでいました。
もともとは田中さん自身が「カシミヤのシェットランドセーターが着たい」という想いからはじまった、セーターづくりのプロジェクト。
いいものに出合えなくて知人に制作をお願いしたのは、今から6年前のことです。
長年百貨店のメンズフロアのディレクションを手掛けた経験から、思い描くセーターは明確にあった田中さん。
デザインやサイズ感だけでなく、風合いや編み目の大きさなど素材の表情も細かく指定、3回にも渡るサンプル出しを経て理想のシェットランドセーターが完成しました。
■つくる人ではなく、着る人のセーターだから
ラインナップにはその後Vネックなどが加わり、2019年にはタートルネックとカーディガンが登場します。
一般的なアパレルブランドなら少ない型数ですが、今後も積極的には増やさないそうです。
「一つ一つのモデルをずっと売りつづけたいんです。それは完成度が高くないと実現できないこと。
一つのモデルを完成させるのに構想から1〜3年、サンプルは最低3回はテストします。自分自身が心底満足してから着たいですし、お客様にもお勧めしたいと思っています」
■セーターがその人らしくなってくれる
着る人の数だけの着方ができて、その人らしくなってくれる田中さんのセーター。どのモデルも、スタイリングを限定しないよう、シンプルなデザインとシルエットを心がけてつくられています。
「着てみたら、よくわかるよ。 どうぞ、どうぞ! 」と背中を押してもらい、試着させてもらいました。
■温度の冷めない距離で届けたい
セーターはもともと自分と友達のためにつくったという成り立ちから、市場価格を考えるとえっと驚く値段で売られています。当初より幅広く提供するようになった今、そのスタイルは変えないのかという質問にこんな答えが返ってきました。
「そうしたらこれをやっている意味がないというか、つまんなくなってしまう。
今は事業としてやっているけれど、圧倒的なデザイン力とともに圧倒的な小売価格でなければ、お客様には満足してもらえないと思うんです」
最初から卸すという発想はなく、 自分たちがお客様と直接つながっていく=売っていくイメージがあったという田中さん。
「だから、なるべく自分たちの温度で伝えていきたい。幸いなことに素直にこのセーターがいいと思ってくれる人たちが声をかけてくれているので、受注会というかたちをとり、 開催する店も大きく広げずに進んでいきたいと思っています」
■2020年も開催!ご予約はこちらから
2020年も、田中さんのセーターをお披露目する数少ない場のひとつとして、shedを選んでもらいました。
ぜひこの機会に袖を通しにいらしてください。
CASHMERE KNIT PROJECT by ARROW57.
「毎日着たくなるカシミヤニット」
2020年2月29日(土)から3月8日(日)
田中さん在廊日:3月1日(日)7日(土)、8日(日)
平日 11:00-18:00
土日 11:00-19:00
shed(東急田園都市線、大井町線二子玉川駅から徒歩約3分)
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