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25.07.11

眠りは人生の30年。損のない寝具の選び方、付き合い方は?

毎日の暮らしに欠かせない寝具。いま使っている寝具がどんな状態なのか知っていますか?眠りを長くみつめてきたISHITAYA代表の田中陽雫美(よしみ)さんに一生のうちに使う寝具のことや選び方、お手入れのほんとうのところを聞きました。

■人生の30%を占める睡眠、大事にしていますか

眠りの大切さを広めようと、まるで伝道師のように眠りの啓蒙に取り組む、金沢の寝具店ISHITAYA。

現代の暮らしではどうしても眠りが後回しになりがち。代表の田中さんは「見えない部分だからってみなさん大切にしなさすぎです」と、きっぱりいいます。

▲ISHITAYA犀川店でお話を聞きました

「人生の時間は有限です。90年生きるとしたら、30年は眠りの時間、10年は食事の時間。5年はトイレを使う時間なのだそうです。残りは45年なわけです。その残りの時間を仕事、家族、趣味に使うとなると僅かしかありません。

眠りの30年間に対してどれだけ向き合ったことがあるでしょうか。

自由に使える45年の価値を高めるために、眠りを考えて欲しい。90年間の人生の時間はあっという間に夢のごとく過ぎ去りますよ」

「せっかく購入するなら、ご自分に合った寝具を長く使うという選択肢を持って欲しいです。一個3万円の枕を10個買ったら30万円になるので、そういった無駄なお金の使い方はできるだけ避けたいですよね」

田中さんはテレビCMや商品のキャッチーさに影響されるのではなく、自分の大切な身体に合う寝具を考えて納得するものに出合って欲しいと話します。

また寝具の見直しの機会は引越しを機に検討される方が多いけれども、眠りは毎日のことだから、寝具を見直すタイミングはいつでもいいのではないかと、疑問を投げかけます。

■布団はどうやって選んだらいいか?他人のことを聞くよりも自分の感覚で選ぶ

寝具を購入しようと考えた時、思い浮かぶのはどのお店でしょうか。そもそもその寝具はどのくらいのあいだ使うものなのでしょう。選ぶときに考えるポイントを田中さんにアドバイスしてもらいました。

「たとえばマットレスの場合、その素材によって耐久年数が変わります。スプリングマットレスならば大手小売店の安価なものでしたら、1~2年でヘタリがでますし、つくりがある程度しっかりとしたつくりのものでしたら10年くらいは持ちます」

「天然素材ならば、ラテックスは紫外線がガンガン当たる場所に置いてなければ10年くらい、馬毛は一生涯使えます。最初の素材選びは選択は肝心です」

▲犀川店では素材の見本が尊く神聖にディスプレイされていました。こちらは馬毛

チェックポイント その1・寝具の耐久性はものによって変わる

チェックポイント その2・自分に合った寝具は住環境×体質で寝具を選ぶ

「体質と住環境の掛け合わせによって何を選択するか考えていきます。人のことを聞くよりも、ご自分の感覚で選ぶことがいちばん大事です。

昔に建てた古い戸建ての場合は断熱性能が低いので室温が低下して寒くなります。気密性の高い新しいマンションや戸建てならばそこまで室温が低下しないです」

体質によっても寝具選びは変わります。体質が異なるふたりが同じ室温で眠った場合、暑がりの方は代謝が高く発熱し、布団に熱がこもりやすいそう。そういった暑がりの方は調湿機能に優れたウールが好ましい。反対に寒がりの方は保温性の高い羽毛が快適なんだそう。

田中さんは一年を通じて温度調整してくれる一枚を持つことをおすすめします。

「昔は羽毛布団+夏のタオルケットだけで済んでいましたが、それだけでは最近の気候は対応できないと思います。

真綿布団羊毛布団、カシミアなど、それ以外の選択肢があると快適に過ごせます。ちょっとでも暑い、寒いといった不快なかたちで寝てしまうと睡眠の質って悪くなるので。その日の身体の変化による影響もあるでしょう」


<2025年 春から夏 どんな寝具を使っていたか聞きました>
~ 田中さん(30年前に建てた戸建て住宅・暑さに弱いタイプ)の場合 ~

「6月以降、湿気が多くなるとエアコンを使いますが、かけ方も工夫します。

私の自宅の構造は二階建ての戸建てです。二階の北側にリビングがあり、廊下をはさんで寝室が南側にあります。この時期はリビングにある、30畳くらい対応のエアコン一台だけかけて開けっ放しにしています。

わが家の場合は一部屋に一台、冷房はいらないですね。寝室じゃないところで冷房をかけて、家全体に冷気を流しています」

■寝具のお手入れは、クリーニングよりもカバーをこまめに洗濯して

寝具の選び方や使い方についてプロの一例が分かったところで、布団の管理やお手入れはどうなのでしょうか。

「布団の管理は大切です。たまにカバーを付けないで使っている方がいらっしゃいます。そうすると、布団が酸化して汚れてすぐダメになっちゃいます。悪い運気も引き寄せてしまうかも」

「カバーは中の布団が汚れないためにかけるもの。こまめに洗わないとカバーに付着した汚れというのは当然浸透します。ですので、カバーを頻度高く洗うようにして布団が汚れないようにしていただければと思います。

髪の毛って洗うとふわふわしますけど、自分の身体から出た汗やら油やらの汚れでぺちゃんとしちゃいますよね。汚れが浸透すると、それと同じことが羽毛布団等にもあらわれます」

▲犀川店に備えられたドイツ製の羽毛洗浄機。こちらを使用した布団リフォームについては別途詳しくレポートします

「クリーニングに出せばいいんじゃないかという考えのお客さまも中にはいます。一般的なクリーニングでは、側生地ごと洗うので羽毛の汚れを落とし切れません。

お風呂に入るときに洋服を着て入浴しても、身体がきれいにならないというのと同じです。

寝具はいかに清潔に保って使うかということをまず考えていただきたいです」

損のない寝具の選び方と付き合い方 ふり返り

・マットレスや敷き布団は耐久年数を念頭において、予算や心地よさ、ストレスフリーな眠りが手に入るのかどうかを考えて購入する
・天然素材を選ばない場合、いちばん身体に近いところだけウールパッドを敷くと汗や湿気を吸い身体も快適で寝心地もアップする
・掛け布団の選択肢は羽毛布団だけじゃない。住居環境×体質に合わせて自分の感覚で選ぶ
・寝苦しいと睡眠の質が下がるため、季節の狭間期だけでなく一年を通じて温度調整してくれる一枚があるとよい
・カバーをこまめに洗濯して清潔に保つと布団も長持ちする。クリーニングは側地を主に洗っているので過剰に頼らない
・つまり今までの経験値の中でしか判断できないので、素直にプロの意見に耳を傾けて、知識だけに頼らず眠りの体験をして最終決定することが望ましい

カテゴリ:エンベロープの寝具店

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