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掲載日:19.09.02

北海道の老舗がつくる、新しい長靴/第一ゴム株式会社(前編)

エンベロープで今年から取り扱いのはじまった、長靴「RAKA(ラカ)」。この長靴をつくるのは、80年以上続くゴム履物メーカー「第一ゴム株式会社」です。こんなに柔らかくて歩きやすい長靴のことをもっと知りたい!という思いで、はるばる北海道小樽まで工場見学へ行ってきました。前編では、第一ゴムのものづくりとRAKAができるまでのお話をご紹介します。

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■創業80年以上の老舗長靴工場へ

北海道・南小樽駅から車で10分。

80年以上続くゴム履物メーカー「第一ゴム株式会社」の工場は、海からほど近い北海道小樽の街中にありました。

営業担当の吉田篤史さんに案内されて中に入ると、工場内は自然光のたくさん入る解放感のあるつくり。至る所に窓が設置されて北海道の涼しい風が通り抜けるので、夏場でもエアコンなしで稼働できるそうです。

▲照明がなくても明るい工場内
▲「何年つかってるのか分からない」という年季のはいった長靴の金型たち
▲創業80年超えの趣きを感じる一角。増築を繰り返しているため、古い部分もそのまま残っているそうです

工場の奥へ進むと驚かされるのが、粉で真っ白な設備たち。こちらはゴム同士がくっつかないようにする粉で、まるで雪景色のようです。

▲照明にも粉が降り積もって真っ白に

■靴底が大切なのは、雪国の長靴屋だからこそ

工場の中を歩いていると、長靴の形と同じくらい、たくさんの種類の靴底があることに気づきました。

それもそのはず。第一ゴムの長靴の強みは丈夫で安全に歩けることだから、と吉田さんは話します。

「うちのメインのお客さまは、60代や70代のおじいちゃんおばあちゃん。北海道の冬に外で歩いて、転ばないで安全に歩けることが一番大事。

だから靴底には力を入れていて、長持ちして滑らないための工夫をたくさんしています」

▲オレンジ色のパーツは、スチールのピンスパイクが入っています。むき出しだと、雪道で都合が良くても硬い場所を歩くときに滑るので、ゴムでコーティング。ベージュ部分には、セラミックが混ぜ込まれています

「長靴は靴底が一番重いんです。だから軽量化したいところですが、どうしても混ぜものをいれることになるので、もろくなる。

だからうちはあんまりやってなくて、軽いことはうたえないんです。それよりも、滑りにくいとか、壊れにくいとか、そういうことを大事にしています」

と、吉田さん。エンベロープで取り扱うRAKAの靴底も、改めて見てみると深い凹凸があり頑丈なつくり。

「RAKAをつくるとき、この靴底を絶対使いたかったんです。一般的な長靴は、軽いんですが底が薄いのでちょっと街歩きしただけで疲れちゃうことも。

これならグリップが効くので街でもアウトドアシーンでもがしがし歩けて、疲れない。場所を選ばず履けるんですよ」

■新しいブランド「Daiichi Rubber」のはじまり

雪国での暮らしに寄り添う長靴をつくり続けていた、第一ゴム。ラバーブーツブランド「Daiichi Rubber」の取り組みは、どのようにはじまったのでしょう。

それは、遡ること2015年。吉田さんの一本の電話からはじまります。

▲カタログには、北海道の冬の暮らしの強い味方となる長靴たちがずらり

「今までは、昔ながらの靴屋さんを中心に決まった顧客に長靴を売って成り立っていました。

だけど、僕が転職で第一ゴムに入ってちょうど1年くらい経ったときに、今までと違った分野にも販路を広げていきたい、何か新しいことをしたいな、と思うようになりました。

そんな時に思い浮かんだのが、Less(北海道旭川にあるセレクトショップ)で。ああいう格好いいお店で取り扱ってくれたら、色んなところに広がる可能性があるんじゃないかと思って電話してみたんです」

▲Less

そうしてLess代表・浜辺令さんに長靴を見せにいったところ、道外から仕入れているものが圧倒的に多いので、道内のいいものを紹介したいという思いを聞きます。

最初は既存の商品を置いてもらうつもりでしたが、何度も話し合ううちに「せっかくならいいものをつくろう」とLessのオリジナルブランドを立ち上げることに。そうして吉田さんは営業担当という肩書きでありながら、商品開発に携わることになります。

デザインは、プロダクトデザイナーの溝口瑛さんに依頼。納得できるものが完成するまで数年間、何度も試作を繰り返したそうです。

そんなRAKAの特長のひとつが、マットな質感と水の跡。

「通常は加硫缶(窯)で熱と圧力を加えるだけのところ(間接加硫)、水蒸気を一緒に吹きかけるんです(直接加硫) 。普通がサウナだとすると、これはミストサウナ。

直接加硫は柔らかくて耐久性が出るのですが、ひとつひとつコントロールできない水跡が残るので他の製品には使い辛い製法でした。でも、その不揃いなのがむしろいいなって。RAKAには敢えて採用しました」

▲よく見ると胴やベルト部分に水の跡が見えます

そうして販売まで辿り着いたのが電話から約5年後、2019年3月。

「 RAKAの色出しは、確か27回くらいやりました。特にブラウンが大変で。テレビ電話で何度もやりとりをしながら、調整していきました。

終わった今となっては、ちょっと寂しいんですけどね。 新色は毎年だせるかはわかりませんが、定期的にだしていきたいなと思っています 」

▲左から、ブラック(9月入荷予定)、ブラウン、ブルーグリーン

そうして、北海道の老舗メーカーがつくる美しい長靴は、道外へ飛び出しました。私たちエンベロープを含めて、少しずつ取り扱い店舗も増えてきているそう。

雪国で培った技術による快適でタフな履き心地は、私たちの暮らしの頼りになる一足になりそうです。

>>後編では、熟練の職人たちの手仕事による、長靴づくりの様子をご紹介します

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カテゴリ:エンベロープ

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