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掲載日:19.09.06
人の手でつくる、長靴ができるまで/第一ゴム株式会社(後編)
長靴「RAKA(ラカ)」をつくる第一ゴム株式会社の工場見学レポート。後編では、熟練の職人の手仕事によってつくられる長靴ができるまでをお届けします。
■手仕事でつくる、長靴ができるまで
工場でつくられるものって、大きな機械のボタンをピッと押せばできあがり…なんてイメージがありませんか。確かに塩化ビニール製の長靴はそれに近いつくり方だそうですが、ゴム長靴はそう簡単にはいかないようです。
第一ゴムの工場を見学すると、その印象は普段私たちが作家さんのものづくりを見せてもらうときと変わりません。熟練の職人の手仕事によって、ひとつひとつ長靴がつくられていました。
前編に引き続き営業担当吉田さんに案内してもらいながら、ヴァルカナイズ製法 によるゴム長靴づくりの工程をご紹介します。
(1)ゴムを練る
長靴の原料は、天然ゴムと合成ゴム。まずはミキサーで数種類のゴムを練り上げて、硫黄を混ぜ込みさらに練り上げ、一日休ませます。
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(2)練り上げたゴムを、板状にのばす
時間をかけて練り上げたゴムを、ローラーで板状に伸ばします。
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(3)型で抜く
板状になったゴムを、型で抜いていきます。一足の長靴は一枚のゴムからできる訳ではなく、たくさんのパーツからできていることがわかります。
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型で抜いたものは、ひとつひとつ目視で検査をします。
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(4)靴底をつくる
ワッフル型のような金型に靴底のパーツを挟んで、 約10分くらい熱と圧力で成型します。
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できあがった靴底はこちら。はさみで一足ずつ、手作業で周りの必要ない部分を落としていきます。
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(5)組み立て
まずは金型に靴下のように裏生地を履かせます。足をいれる時に滑りをよくしたり、保温性を高めてくれます。
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ここからが、長靴づくりの要。裏生地に糊を塗って、ゴムのパーツを一枚一枚、長靴に貼っていきます。
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熟練の職人たちがものすごいスピードで、けれども正確に、組み立てていきます。
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(6)熱と圧力で加工
ゴム長靴は今の状態だと、生のままなので柔らかくて耐久性がない状態。最後の仕上げとして、 「加硫缶」 と呼ばれるタンクで140度位の熱と圧力を加えます。
一回風船みたいに膨らんだ後にきゅっと戻って収縮することで、丈夫な長靴に成型されます。
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加硫が終わったら、中の金型を抜き、水漏れ検査を行います。最後に余分なゴムを切り落とせば、完成。
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■少し高くても、品質を大切に
想像していたより、ずっと地道な手仕事の積み重ねでつくられていたゴム長靴。もっと簡単に、安くつくることもできるのでしょうか。
「 ゴム素材だったら基本的につくり方は同じだと思いますが、ゴムを練るところで一日寝かせるとか、時間をかけて練り上げるとか、色んな手間の積み重ねをすることで弾力とかしなやかさがでてきます。
ここにどれだけコストをかけるかは、メーカー次第。けれど、最終的な耐久性や履き心地につながってきます」
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「あと、価格に直結するのは原料費。 第一ゴムの長靴は、原価は高いのですが柔らかさとしなやかさを出せる天然ゴムがほとんど。強度をもたせるため、少しだけ合成ゴムを混ぜて使っています 。
世の中には3,000円のゴム長靴もありますが、手間と材料、そういうところで差が出ているのではないかなと思います 」
■つくりたてのRAKA(ブラック)を入荷します
ちょうど取材に伺った数日前に、エンベロープで取り扱い開始するタイミングで欠品していたRAKA(ブラック)の再生産をしたそう。ベルトやボタンなどのパーツは、取材当日の朝に吉田さんが全て取り付けたそうです。
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まだまだ台風や雨の日が多い季節、つくりのよい長靴が一足あるだけで、天気の悪い憂鬱な日も少しだけ前向きに過ごせそうです。
エンベロープ名古屋では試し履きもできるので、ぜひその履き心地を味わってみてくださいね。
カテゴリ:エンベロープ
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