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2016.11.23
田村文宏 展
11/28(月)までKOHORO二子玉川店にて「田村文宏 展」開催中です。
田村さんらしい黒褐釉、灰釉、白磁、絵付けなどの種類がそろう
バリエーションのある展示になっております。
作品をつくる上でこだわっていることなど田村さんがいろんなお話をしてくれました。
■陶片が身近にあった大学時代
大学は愛知の瀬戸市で過ごし、野球漬けの毎日だったそう。
授業の合間に近くの山を散策していると平安時代の窯跡が残っていて、
陶片がそこらじゅうに落ちていたり、陶芸はごく身近にあったそうです。
大学卒業後は小さい頃から好きだったものづくりの道へ進むため、
高専で陶芸を学び今年で陶歴は12年です。
▲展示会初日の田村さん
■アジアに魅せられて
アジア地域が好きで、タイやカンボジア、ヴェトナムに
陶芸や窯つくりの指導で何度も訪れているそう。
行くと2ケ月くらいは滞在して、指導の合間に古いものを売っている
青空市場でいろんなものを見るのが楽しくて・・・
来年の春頃にまた行くんだよ、とうれしそうに話してくれました。
東南アジアの古い焼きものも昔から好きで、
作品のイメージソースになることも多いそうです。
大きさなどは家で使ってみて使い心地を確かめながら
現代の生活に合ったものを、と考えているそう。
▲安南丼鉢
温かい国で良く見られるかたち。
小さいものは田村さんのお子さんも飯椀として使っているそうです。
模様はアジアにあるものをモチーフにしていますが、
そのまま写さず料理を邪魔しないようにと意識して作っているそうです。
また昔の器は表現が少し過剰だったりするので、例えば印花皿は
繊細で女性らしい色や質感を渋くして、ぼかした雰囲気にするようにしているとも。
■黒褐釉
今回たくさん作って下さったのがお知らせにも使った
黒褐釉のシリーズ、アジアにある釉薬だそう。
黒の重厚感を損なわないシンプルな形に、
よく表面を見ると色のグラデーションがあります。
田村さん曰く、一番料理が映えるそうです。
大鉢や取り皿などテーブルにひとつあるだけで、キリット引き締まりそう。
■軸になるのは灰釉
田村さんは黒かつ釉をはじめ、飴釉、灰釉、白磁と4つの釉薬を使い、
ろくろの仕事と型の仕事、絵付けや印花など、
組み合わせると器の良さが引き立つと今回の個展で改めて感じています。
その中でもいいなと思った組み合わせがこちら。
▲飴釉×灰釉のコンビ
▲黒褐釉×絵付け
「自分の中で、軸になるのは灰釉。
つくるもののバリエーションは広いけど、あれもこれもと別々のものを
つくってるという意識ではなく一直線上にあるイメージ。」
と印象的だった田村さんのことば。
■瀬戸の磁器
「瀬戸の磁器は、有田と違って白すぎないから
逆にそれで他の器と合わせやすいんだよね」と田村さん。
カトラリースタンドは毎日出し入れする道具入れなので、わざとふちを厚いつくりに。
花活けにもおすすめでたくさん使って欲しい定番作品です。
■あたらしい薪窯
今回の作品は全てガス窯で制作されました。
作りたい作品のイメージにもっと近づけるため、5年ほど使っている蒔窯を壊して、
新しい窯をつくる準備を着々と進めているとか。
新窯で作られた作品を見るのも楽しみです。
12月8日~25日まではエンベロープ名古屋にてグループ展、
2017年2月にはコホロ淀屋橋でも個展を開催します。
▲解体中の薪窯
▲自然豊かな土地で制作されています
1978年 愛知県岡崎市生まれ
2004年 愛知県立瀬戸窯業高等学校陶芸専攻科卒業
2005年~2014年 ホンジュラス共和国やカンボジアで窯業サポート
(2005年〜2014年の間に5回)
現在、愛知県岡崎市で制作
カテゴリ:コホロ