バカンス真っ最中につき、ルーアンは観光地を除いてとても静かです。
私も旅というほどではないですが、少し遠出をして柳のパニエを編む職人さんを訪ねました。

▲工房の目印もパニエ

 

こちらでは自分たちの畑で材料の柳を栽培しています。
夏の間成長を続けた柳は、秋には3mほどになるそうです。

▲柳畑。8月中旬のこの日、すでに2m80cmほどになったそう

収穫は冬に行われますが、柳株を残してカットし水に浸けて春を待ちます。
残した柳株からは次のために挿し木をして増やします。

▲収穫した年や種類によって分別してストックしていました

水に漬けて越冬することで樹液が出て皮が剥がれやすくなると教えてもらったのですが、
フラックス栽培のレッティングという工程と理由が似ているなと思いました。

▲春に使う葉っぱや皮を剥ぐ機械。100年前のものですが現役です

配色を編み込んだパニエなどもつくるため、
樹皮が赤茶色やうす緑のものなど異なる種類の柳を育てていました。

色を活かす場合は皮を剥がずに編むそうです。

▲種類によって樹皮の色に違いが。奥の白っぽいものは皮を剥いだもの

1時間ほど職人さんに畑や工房を案内していただきましたが、
植物が様々な工夫を施されながら姿を変えていく工程を拝見でき大変興味深かったです。
フランスにおけるパニエの歴史は古く、
文献によるとノルマンディで編み始められたのは15世紀からとされています。
また、地域ごとにそれぞれ編み方や用途によるフォルムの特徴があり、
ここフランス北部では、林檎などの農産物や海産物の収穫用に考えられたものが
昔からよく編まれているそうです。
我が家にもひとつ、貝拾いのパニエを購入しました。
しっかりギュッと編まれており、確かに収穫作業で使用しても長持ちしそうなつくりです。
また新たにフランスの伝統文化を垣間見れた一日でした。

▲貝拾い用は少し細長く小脇に抱えやすい形。柳のパニエはプラスチックなどに入れておくより海産物が長持ちするそう

ENYO ソリアノ
http://laviedenyo.blogspot.com/