フランスルーアンの街で服づくりをするデザイナー、
ソリアノ綾佳さんからのお便りをご紹介します。
ルーアンは、パリから電車で1時間ほどの場所にある街。
この街でソリアノさんは自身の目で選んだリネンで服を仕立て、
年に一度リリース。エンベロープでもその作品をご紹介しています。
ソリアノさんについての紹介記事はこちらから »
2020.6.29
夏至を過ぎたあたりから急に夏の陽気になりました。
春の間ステイホームをしていたせいか、季節のめぐりに身体が、
というよりも気持ちがまだついて行けないようで、
なんだか少し変な感じがします。
出かける前、夏の装いでマスクをつけた自分の姿を見て、
一体なぜこんなことになっちゃったかな…と思いました。
定点観察をしているフラックス畑へは数日おきに見に行くのですが、
6月前半は嵐のような雨の日ばかりで、やっと足を運んだときには
満開のピークを過ぎてしまっていました。
満開を見逃した言い訳になってしまいますが、
しばらく気温が低かったせいもあってか、
一斉に わーっと咲くのではなく、
開花のタイミングに個体差があったように思えます。
観察地では叶いませんでしたが、他にきっと満開の畑があるはずだと
近くを探してみると、ありました、青く波打つ花畑!
全長はすでに1m近くあり 真っ直ぐ細い茎なので、
そよ風でもゆらゆら揺れています。
フラックスは風媒花という受粉を風によって行う植物なので、
風がよく吹くノルマンディの大地は好条件です。
花粉が飛んでいるのではないかと目を凝らして見たけれど、
肉眼で見えるものではないのでしょうね…
驚くのはこんなに長い茎を支えるのに、
地中に3cmくらいしか根っこがないことです。
それだけこの繊維がしなやかだとわかります。
手で茎をちぎろうとしても、簡単には切れません。
リネンは世界最古の繊維で一万年前に発見されており、
生地に至っては四千年前にはつくられていたことがわかっています。
最初に生地にした人もきっと、フラックスの繊維の強さに驚いたのでしょうね。
ENYO ソリアノ
http://laviedenyo.blogspot.com/