7月も終わり頃ですがここ数日ぐずついたお天気が続いており、
長袖シャツばかり着ています。

フランス北部に位置するノルマンディでは特に、
半袖やノースリーブに袖を通す期間が短く(日本人の私の場合)、
時折夏日が来ると嬉々として夏服に着替えます。

気温が上がったある日、教会の水呑場で鳩が水浴びをしていました。

▲水呑場は祈りの前に体を清めるためのものだそう。お寺にある手水舎と同じですね

日常のなんてことない一幕でしたが、不安が多くある中では
その光景が余計に愛らしく見えました。

先月花を咲かせたフラックスは、収穫の時期を迎えました。

すっかりきつね色になり、シードボールの中も乾いているので
風に揺れるとカラカラと種が鳴ります。

▲7月5日:葉っぱも落ち、頭のシードボールとひょろっと長い茎だけになりました

定点観察をしている畑は7月上旬には根っこごと引き抜いて収穫をし、
そのまま土壌に寝かるレッティングという工程が始まりました。

この工程を経ることで後に茎から繊維を取り出しやすくなります。

▲7月10日:レッティングの様子。みんなきれいに並んで雑魚寝です

なぜ土の上に置いておくだけでそんな効果があるかというと、
太陽のもと雨風に晒しておくことで発酵され、発生したバクテリアが
余分な表皮を食べて分解してくれるからです。

バクテリアはフラックスを畑から回収した後も
しばらく土中に生きているそうで、来年も続けてフラックスを植えると
充分に育たないまま熟れてしまうので、畑を休ませるために輪作が行われます。

▲7月19日:前回から頭の向きが変わっていました。まんべんなく発酵させるため、レッティング中に一度農耕車を使いひっくり返します

こちらの畑を始め、今年は例年より早い生育のところが多いそう。

初夏の早い時期に急に真夏の気候になり、その後は急転して
気温が低くなったことが原因のようです。

ニュース番組でフラックスと同じくノルマンディの特産でもある、
小麦や菜種の出来があまりよくないと報道されていました。

自然相手の農作物はよい年もあれば、そうでもない年もあります。

似たような季節を繰り返しているつもりでも、同じ1日なんて
一度もないのだなと改めて考えさせられました。

ENYO ソリアノ
http://laviedenyo.blogspot.com/