フランスルーアンの街で服づくりをするデザイナー、
ソリアノ綾佳さんからのお便りをご紹介します。
ルーアンは、パリから電車で1時間ほどの場所にある街。
この街でソリアノさんは自身の目で選んだリネンで服を仕立て、
年に一度リリース。エンベロープでもその作品をご紹介しています。
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2020.7.28
7月も終わり頃ですがここ数日ぐずついたお天気が続いており、
長袖シャツばかり着ています。
フランス北部に位置するノルマンディでは特に、
半袖やノースリーブに袖を通す期間が短く(日本人の私の場合)、
時折夏日が来ると嬉々として夏服に着替えます。
気温が上がったある日、教会の水呑場で鳩が水浴びをしていました。
日常のなんてことない一幕でしたが、不安が多くある中では
その光景が余計に愛らしく見えました。
先月花を咲かせたフラックスは、収穫の時期を迎えました。
すっかりきつね色になり、シードボールの中も乾いているので
風に揺れるとカラカラと種が鳴ります。
定点観察をしている畑は7月上旬には根っこごと引き抜いて収穫をし、
そのまま土壌に寝かるレッティングという工程が始まりました。
この工程を経ることで後に茎から繊維を取り出しやすくなります。
なぜ土の上に置いておくだけでそんな効果があるかというと、
太陽のもと雨風に晒しておくことで発酵され、発生したバクテリアが
余分な表皮を食べて分解してくれるからです。
バクテリアはフラックスを畑から回収した後も
しばらく土中に生きているそうで、来年も続けてフラックスを植えると
充分に育たないまま熟れてしまうので、畑を休ませるために輪作が行われます。
こちらの畑を始め、今年は例年より早い生育のところが多いそう。
初夏の早い時期に急に真夏の気候になり、その後は急転して
気温が低くなったことが原因のようです。
ニュース番組でフラックスと同じくノルマンディの特産でもある、
小麦や菜種の出来があまりよくないと報道されていました。
自然相手の農作物はよい年もあれば、そうでもない年もあります。
似たような季節を繰り返しているつもりでも、同じ1日なんて
一度もないのだなと改めて考えさせられました。
ENYO ソリアノ
http://laviedenyo.blogspot.com/