フランスルーアンの街で服づくりをするデザイナー、
ソリアノ綾佳さんからのお便りをご紹介します。
ルーアンは、パリから電車で1時間ほどの場所にある街。
この街でソリアノさんは自身の目で選んだリネンで服を仕立て、
年に一度リリース。エンベロープでもその作品をご紹介しています。
ソリアノさんについての紹介記事はこちらから »
2021.1.07
新しい1年が始まりました。
昨年から続くこれまでと違う生活にまだちょっと戸惑いはあるものの、
元気でさえいればきっと大丈夫だと信じています。
今年の干支は丑ですね。
ENYOのアトリエがあるフランス北部 ノルマンディ州は
酪農が盛んな土地で、都心を少し離れるとあっちにもこっちにも
牛が草を喰む姿が見られます。
牛にも様々な品種がいますが、ノルマンディ種というこの地方で
飼育されている牛のお乳でつくるバターやチーズの美味しいこと!
バターといえば、いつか義理の祖母と台所に立った際に
「あら、あなたはお料理にオイルを使うのね」と言われ
不思議に思ったことがありました。
後に義母に聞いたら生粋のノルマンディ人はソテーするにもバター、
仕上げでコクを出すのにバター、カロリーを想像したくないくらい
たっぷりの量を使うのだそうです。
「おばあちゃんの台所にはオイルなんてないかも」とも話しており
衝撃を受けました。
この地域がフランスの中で肥満率が高いと言われているのは、
美味しいミルクが原因であることは明確です。
フランスに来て今年で12年、干支を一周しました。
何年も前になりますが、こちらに初めて遊びに来た私の父が述べた
「世界遺産に連れて行ってもらって美味しいものも食べたけど、
広い地平線と牛の目が可愛かったのがよかった 」という旅の感想が、
私がこの土地を好きな理由と全く同じだったのでとても嬉しかったです。
まれに我慢できない理不尽に接すると、自分が外国人であることや、
日本とは異なるこの国の人達の気質がみんな嫌になることがあります。
そういう時に牛の目を見ると初心を思い出し、棘が抜けて
心がまあるくなるように感じます。
牛、いつも色々とありがとうね。
ENYO ソリアノ
http://laviedenyo.blogspot.com/