フランスルーアンの街で服づくりをするデザイナー、
ソリアノ綾佳さんからのお便りをご紹介します。
ルーアンは、パリから電車で1時間ほどの場所にある街。
この街でソリアノさんは自身の目で選んだリネンで服を仕立て、
年に一度リリース。エンベロープでもその作品をご紹介しています。
ソリアノさんについての紹介記事はこちらから »
2021.3.15
先月のENYOのアトリエだより100回記念プレゼントへの
沢山のご応募、どうもありがとうございました。
皆様からのあたたかいお言葉が大変励みになりました。
感想を拝読したところ、以前の記事を見て気にしてくださる方が
いらしたので、今月はスモッキング刺繍の作業工程について
書いてみたいと思います。
羊飼いや農民服などヨーロッパの古い作業着には袖口や
ヨークにギャザーがたっぷり入ったシャツがありますが、
たくさんギャザーを寄せることで動きをよくしたり防寒にしていました。
そういったスモックと呼ばれるシャツが
このテクニックの語源になったそうです。
まずはひだ寄せから始めます。
プリーターという専用の機械もありますが、
ENYOでは手作業で行います。
今回は巾12cmのスモッキングにしたいので36cmの布が
必要といった具合に、できあがり寸法より
(リネンの薄手生地ならば)3倍見積もります。
見積もった36cmの部分にヘラで縦1cm横1.5cmの格子を印し、
太めのカタン糸で1cmの間を均等に並縫いします。
ここで上下の並縫いが均等に揃っていないと、
まっすぐなひだになりません。
並縫いの糸をギューッと引いて縮めます。
糸は切らずに蝶々結びにした状態で、火傷に注意しながら
ひだに蒸気アイロンを当てます。
蒸気だけが当たるように、アイロンを布に付けず
浮かせるようにしてかけましょう。
蒸気が乾いたら糸の結び目を外し、できあがり寸法の
12cmにひだを広げます。
ひだを整えたら糸を固結びにし、再び蒸気を当てます。
ここからようやく刺繍糸を使ってひだ山をかがり始めます。
かがり終わったらパターンを置き裁断をし、
他のパーツと縫い合わせていきます。
こんな風にひだ寄せから一着が完成するまで時間はかかるのですが、
毎日夢中になって作業しています。
フランスで最初にロックダウンが発令されたのは
昨年の3月17日でしたが、あれから今日までどうにか頑張ってきました。
やり場のない気持ちを、私は手間のかかる作業に没頭することで
慰めてきたように思えます。
未だに終息が見えないのは苦しいですが、それぞれのやり方で
自分を労り時には甘やかしながら、きっと乗り越えましょう。
ENYO ソリアノ
http://laviedenyo.blogspot.com/