フランスルーアンの街で服づくりをするデザイナー、
ソリアノ綾佳さんからのお便りをご紹介します。
ルーアンは、パリから電車で1時間ほどの場所にある街。
この街でソリアノさんは自身の目で選んだリネンで服を仕立て、
年に一度リリース。エンベロープでもその作品をご紹介しています。
ソリアノさんについての紹介記事はこちらから »
2022.6.09
大きな青い空をツバメ達が飛び回り、 爽やかな季節が始まりました。
6月は待ち焦がれたフラックスの開花期です!
▲雲がかかると色が濃くなって、風が吹くと青が波を打ちます
昨年は悪天候の影響で結実しない茎があったと聞いていたので、
3月の播種の頃からお天気を気にしていましたが、
久しぶりにようやく薄青色の畑を見ることができました。
こちらの畑はルーアンから北へ18kmほど行ったあたりにあり、
面積はずっと遠くに地平線が見えるくらい広大な畑だったため検討がつきません。
まるで大海原のような花畑を目の前にし、
自分の存在をとても小さく感じました。
▲全長は85cmほどでした
▲フラックスは風によって受粉をする風媒花。花は半日で散ってしまうため、この儚くも可憐な時間は次の世代への大一番なのですね
一体この大きな畑はお洋服何枚分になるのでしょうね。
1ヘクタールのフラックス畑から約4000枚分のシャツが出来るそうです。
と言われてもなんだか数字が大きすぎてピンと来なかったので、
もう少し馴染みのあるものに例えて計算してみると、
六畳一間の広さの畑でだいたいシャツ4枚分になります。
意外と量は出来るものなのね?初めはそう思いましたが、
フラックスの収穫は年に1度、レッティングを含めた耕作期間の長さや
5〜6年間空けて輪作をすることを考えると、
これだけ手間と時間がかかるのだから生地代が安くないわけだよな……
と実感しました。
さて、只今今年のコレクションが絶賛販売中ではございますが、
アトリエは来年度に向けゆっくり始動しています。
先日買付をした生地に”Global Organic Textile Standard (GOTS)”
と書かれたシールが付いていました。
▲GOTSは世界基準の認定証です
これは原材料の収穫から製造過程まで環境に配慮した
オーガニックテキスタイルですよ、という印です。
ふとそれが目に入り、リネンは農薬をほとんど使用しないと
聞いたことがあるけれど使うとすればどんな時に?と疑問が浮かびました。
何かひとつわかるとまた知りたいことが増えていく……
農家の方に聞いてみたところ、除草のために少量の農薬を
使用する場合があること、作物を回収した後に土中に残った
バクテリアに対して天然由来のものを使うと教えてもらいました。
私に農業の知識がないためこれは憶測になりますが、
オーガニックリネンは無農薬、通常のリネン栽培は
低農薬といえるのかなと思います。
リネンに特化した服作りを始めたのは、難しいことは抜きに
ただ気持ちが良いから!でしたが、今は時代背景もあり
つくり手としての責任を感じます。
何を選び製品にするのか、本質を見失わず作り続けたいです。
ENYO ソリアノ
http://laviedenyo.blogspot.com/