フランスルーアンの街で服づくりをするデザイナー、
ソリアノ綾佳さんからのお便りをご紹介します。
ルーアンは、パリから電車で1時間ほどの場所にある街。
この街でソリアノさんは自身の目で選んだリネンで服を仕立て、
年に一度リリース。エンベロープでもその作品をご紹介しています。
ソリアノさんについての紹介記事はこちらから »
2023.2.16
2 月、フランスの子供たちは冬休み中です。
ついこの間 年末年始の休暇があったばかりじゃないの?!
と驚くなかれ、こちらの学校は2か月登校すると2週間お休み、
というスケジュールなのだそうです。
ですから、次のお休みは4月にまたあります。
日本の子供たちが知ったら羨ましがるかもしれませんが、
親はさすがに同じペースで働くことはできないので、
その都度預け先を確保するのは大変そうです。
今月の冬休みはスキーバカンスとも呼ばれています。
皆が一斉に休むノエルや夏のバカンスとは異なり、
このスキーバカンスは地域ごとに3つのゾーンに分けられ、
1週間ずつずらして休暇日程が決められています。
スキーリゾートへの交通移動がスムーズに行われるよう
考えられているのだとか。
さすが観光大国、バカンスへの熱量が違います。
ということで、こちらがスキーヤーのハンカチです。
ルーアンには週に何度かマルシェがありますが、
毎週金曜日の午前中は サンマルク広場で蚤の市が開かれます。
ENYOで使うアンティークリネンの生地は、
ほとんどこちらで探したものです。
いつも生地やボタンを売ってくださるマダムに挨拶すると、
「あそこの箱を見てごらんなさい」と地面に置かれた
ダンボールをいくつか側に持ってくるよう指示されました。
一枚一枚取り出して、生地のクオリティや
染み傷の有無を確認します。
長い間畳まれて保管された生地は折山が黒ずんだり、
内側が黄ばんでいる場合もあるので、洗濯すれば
落ちそうか等もよく見なくてはいけません。
私は年代の価値以上に、洋服に仕立ててもある程度丈夫か、
清潔感があるかを重視しています。
染みに関しては、酸素系漂白剤をお湯に溶かして漬け置きすると
真っ白になると言われたことがありますが、
確かに白くはなるもののその分ダメージも大きいので
個人的にはおすすめしません。
古い生地は染みを部分洗いをした後、しばらくぬるま湯に
漬け置きし、洗濯機の温度を40度に設定して洗っています。
日本のものがどうだったかもう忘れていまいましたが、
こちらの洗濯機は水温設定ができます。
フランスの水道水は硬水ですが、
それに合わせて洗剤もつくられているようです。
この洗剤の多くが冷たい水では洗浄力を発揮できないそうで、
お湯で洗ったほうが汚れが落ちると聞きました。
フランス人に教えてもらった生活の知恵なので
情報は不確かですが、郷に従っています。
リネンの場合は、あまり高温を使うと表面を覆っている
ペクチンがお湯に溶け出して劣化を早めますので、
水温は60度までにしましょう。
マダムのおかげでこの日は状態のよいものを何枚か購入できました。
アンティークリネンには細番手で高密度に織られているものがあり、
現行品にはない独特の靭やかさがあります。
リネンは強い繊維ですが、伸びにくいという性質もあり、
乾燥したまま織るとブチっと切れてしまうそうです。
湿度管理をしながら難しい調整をするそうで、
高速の織機では織れないのだとか。
アンティークリネンの極細番手を見ていると、
さぞ織るのが大変だっただろうと、
昔の人はどんな風につくっていたのか
タイムマシンに乗って覗いてみたくなります。
ENYO ソリアノ
http://laviedenyo.blogspot.com/