フランスルーアンの街で服づくりをするデザイナー、
ソリアノ綾佳さんからのお便りをご紹介します。
ルーアンは、パリから電車で1時間ほどの場所にある街。
この街でソリアノさんは自身の目で選んだリネンで服を仕立て、
年に一度リリース。エンベロープでもその作品をご紹介しています。
ソリアノさんについての紹介記事はこちらから »
2023.4.03
柔らかい風が指の間をすり抜けていきました。
歩きながらそろそろコートをクリーニングに出そうか、
また寒くなる日もあるみたいだしもう少し待っとくか、
だけどさすがにブーツはもういいよね、
と衣替えのタイミングを思い浮かべます。
忙しくしている間に季節は変わり、植物たちが一斉に芽吹きました。
フランス北部の3 、4月はまだどんよりしたお天気の日が多いので、
グレー色の空に黄色い花々が咲くと、パッと明るい気持ちになります。
▲自生なのか毎年この道路脇に水仙がきれいに咲く
ですから私にとってフランスの春は黄色です。
日本の春といえば、やはり桜のピンク色でしょうか。
今年度のコレクションをようやく縫い終えて、
もう間もなく納品を迎えます。
ここ何年かモデルを引き受けてくれる友人に協力してもらって
新作の撮影をしました。
特別な日ではなく、毎日やってくる普通の日こそ
素材や使い勝手にこだわったものを着たいと思い、
あれこれ試行錯誤しながらつくったコレクションです。
友人のお家が彼女らしくて素敵だったので、
お部屋の中でも何枚か撮りました。
我が家は全体的に色味が少なく、見えるところに物があるのを
あまり好まないのですが、おそらくそれは私自身の日本人らしい
部分なんだろうと思います。
▲たくさん物があるのになんか居心地がよいのは、きっとすべてが彼女の好きなものだからだろうなと思います
人のお家にお邪魔すると、ファッション以上に
それぞれの好みや人生観を知る機会になります。
特に本棚は人となりを表しているように感じます。
天井まである棚にはびっしり本が詰まっていましたが、
アートや料理の本に混じって家族の写真が飾られていました。
その中に私が送った手紙をみつけて、ちょっと照れました。
ちょうどフラックスが開花する初夏から生地探し、
デザイン、パターンづくりを始め、秋頃からは毎日ミシンに向かう生活でした。
コレクション以外の制作物もあるので
ずっとかかりきりということではないけれど、
大きな一つの山だったということは確かで、今はやり切った気持ちです。
ハンカチもつくりました。
▲ 1枚ずつ異なるモチーフを刺繍しました。数えてみたら50種類以上ありました
先月エンベロープオンラインショップで開催された
フラワーマーケットでは、完売という嬉しい報告を受けました。
ご購入くださった方々に心より感謝申し上げます。
さて、今年からアトリエだよりに掲載を始めた今月のハンカチですが、
やり切ったから今日はもう動きたくないよ!
夕飯の支度もサボりたいよ!の私の気持ちを表した、
動かない鳥でおなじみのハシビロコウです。
▲そんな日もありますよね?
ENYO ソリアノ
http://laviedenyo.blogspot.com/