少し前まで一時帰国をしていたので、久しぶりの更新になります。

ノルマンディが1年で最も美しい6 月になりました。

今年もまっすぐに伸びたフラックスが、
小さな青い花を咲かせましたよ。

風に揺られてさわさわと青がなびく様子は、本当にきれいです。

▲月末くらいまでが花の時期です

実はあんまりに里帰りが楽しく「これからまたフランスでサバイバルか……」
と少しナーバスになっていましたが、一面の花畑がそんな気分を吹き飛ばし
心を晴れやかにしてくれました。

▲半日で散ってしまう儚い花

と、こんなふうに書いておいて そういえば先週、
届くはずの荷物が来なかったことで簡単に不愉快になったのを思い出しましたが、
それはもう終わったこと。

やってもらえないことにプリプリ怒り続けるよりも、
自分でご機嫌をとれるものが他にあると、
例え理不尽を受けても健やかでいられます。

ちょっとのことで気分が沈んだり嫌になっちゃう日も
時にはありますが、好きなことがある、というのは
海外生活を送る上で強みだと思っています。

以前のアトリエだより内で、「冬リネン」の開発が進んでいると
紹介したことがありました。

フラックスはざっと
春先の播種→6月の開花→夏に収穫&レッティングという予定で
栽培されますが、冬リネンの場合は秋に種蒔きをします。

ノルマンディ地方の主に南部で栽培が盛んなので、
うちの辺りでは見かけることがありませんが、
今が収穫時期なのだそうです。

近年は比較的夏は過ごしやすいノルマンディでさえ
40度近く気温が上がる日があり、それが続くと
オーバーレッティングと言って、
フラックスが発酵しすぎてしまうなどの問題が出てきます。

そのため 夏の猛暑時を避け本格的に暑くなる前に収穫できる
冬リネンの研究が始まりました。

開発された種は寒さに耐性があるため越冬できるのですが、
耕作期間が通常栽培の倍近くかかります。

おそらくその分コストもかかると予想されます。

また現在フランスで栽培されている10%くらいのフラックスが
冬リネンだそうですが、まだ通常栽培のものよりも
クオリティの面では敵わないそうです。

夏の収穫が大変なら全部冬リネンにしてしまえばいいじゃないの、
ということでもなさそうですね。

これだけ進んでしまった気候変動の大きな課題を、
日常の小さなことだけで解決できるとは到底思えません。

問題を目の当たりにすると呆然となりますが、
知ることを恐れず知見を広げていきたいです。

▲すっと伸びた茎と5枚の花弁をクロスステッチで表現しました

今月は4年に一度開催される、
世界最大の大型帆船の祭典 ”L’armada (アルマダ祭)”
もありました。

お祭りの期間中、世界中から集まった大型帆船が、
セーヌ川沿い7㎞にわたってずらりと停泊します。

船内を見学できるほか、水兵さんたちのパレードや
花火などもあって、ルーアンの街中が賑やかになりました。

▲学校の遠足で来た子どもたち、シニアの団体ツアー、平日の午前中でしたが多くの人出が

2019年の前回はまだコロナもウクライナ侵攻もありませんでしたが、
テロの警戒が強かった年でした。

短い数年の間で世界が大きく変わったように、
この先もきっとそうなのでしょうけれど、
平和や安全を決して諦めてはいけないと思います。

▲お気に入りはポルトガルの VERA CRUZ号。赤い十字の入った帆が目を引く

ENYO ソリアノ
http://laviedenyo.blogspot.com/