夏の快晴が続く今日この頃、皆様はいかがお過ごしでしょうか。

毎朝、ルーアンと実家のある街の天気予報をチェックすることが
日課ですが、体温みたいな日本の予想気温を見て心配になりました。

最近はあまり真夏に帰国することがないため、あのうだるような
暑さを忘れかけていますが、楽しかった思い出も好物も夏が一番多いように思います。

ビールがトクトク注がれる音、野球中継の声援、セミの鳴き声、
花火が上がる音、心躍るサウンドとともに鮮明に記憶されています。

▲いつかの夏休みを日本で過ごした際に、夫が枝豆とビールを覚えました。
それ以来一番好きな日本食だそう

毎年7月上旬、この地の特産であるリネン農業の促進を目的として
開催されるリネン祭りに、今年も行ってきました。

▲FRANCE PATCHWORK というアソシエーションの展示。
「どうぞ好きに見てってねー」というゆるい雰囲気もこのお祭りの好きなところ

このお祭りでは、リネン栽培の歴史や製造法が学べる見学会やワークショップ、
生地等製品の販売、そしてアーティストによる作品展示があります。

工場見学は昨年も行ったので、今回はゆっくり作品を見たりビーチで
ピクニックをして過ごしました。

この日はピーカンでとても気持ちがよい1日でしたが、日向はとにかく暑いので、
作品が展示されている教会内がヒンヤリしていて助かりました。

生地や繊維を使ったアートが展示されているので自分の仕事に近いものを
感じることも多く、たくさん刺激を受けました。

18〜19世紀のアンティークキルトを復刻させたコレクションの展示が特に素敵でした。

▲花や花や鳥の伝統柄がキルティングされていました

オリジナルに可能な限り近づけるため、古い生地を使い全て手作業で縫われたそう。

近くで見ると、素朴な作風でありながら巧妙なテクニックが
施されているのがよくわかります。

今は手頃にものが買える便利な時代になりましたが、
長い時間と手間をかけた作品にはやはり敵いません。

時を経ても魅力的に映るだろうと思います。

そういうものを大切にできる価値観を失いたくないです。

別の会場では、アーティストがご自身のお祖母様が
実際に使われていた道具を展示していました。

木製の台に無数に釘が打たれたこちらは、櫛のようにフラックスを梳かして
繊維を取り出すための工具です。

▲現在は機械化されていますが、同じ仕組みでフラックスから繊維を取り出します

昔は各家庭がそれぞれ使いやすいように道具を作っていたそうで、
形もまちまちなんだとか。

可愛らしいバラの絵が描かれていたのを見て、きっと見た目においても
自分好みに工夫されたんだろうと、当時の方の気持ちがわかったような気がしました。

お弁当を食ようとビーチに向かう途中、フラックス畑にたくさんの
赤い花が咲いているのが見えました。

この花の正体はヒナゲシですが、農薬が散布された土地には
自生しない植物であることから、オーガニック製品のシンボルマークに
使われることがあります。

おそらくこのフラックスも無農薬か、うんと少量の農薬使用に
抑えられているのだと思います。

フラックス栽培はお天道様次第とよくいいますが、農薬だけでなく、
農作物のために水をまいたり水路を引いたりもしません。

雨や太陽が作物を熟してくれるのをただ待ちます。

大胆でおおらかな栽培法だからこそ難しさもあるようですが、
自然と共存するための本来の姿のようにも感じます。

▲こちらは7月7日に撮影したものでまだ青々としていますが、数日経った今はだいぶ熟されてベージュ色になりました

ENYO ソリアノ
http://laviedenyo.blogspot.com/