いつものマルシェには、この地で採れた林檎が
何種類も売られているスタンドがあります。
生食用だけでなく焼き林檎にはこれ、タルトならばこっちと、
お店の方が用途に合わせてそれぞれの特徴を教えてくれます。

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フランスといえばワインが有名ですが、
雨が多く日照時間の短いノルマンディは
上質なワインを作る葡萄の栽培には不向きなのだそうです。
しかしその風土は林檎の生育に大変適しており、
林檎を原料としたお酒、シードルやカルヴァドスはこちらの特産品です。

つい先日のこと。
雪がちらつく1月の週末に、北部の小さな村にあるシードル資料館を訪ねてみました。

フランスには、その土地で古くから親しまれている
文化や農産物を学ぶことができる郷土資料館がいくつもあります。
シードル資料館では、昔実際に使われていた樽や蒸留器が展示されていました。
現在はもっと高度な機械が使用されていますが、
林檎を蒸留し発酵させる作り方は何世紀も前から変わらないそうです。

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(写真:林檎を砕いてジュースを搾り出す機械)

 

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近くの農園には秋の収穫を終え、枝だけになった林檎の木が並んでいました。
林檎作りと兼業して、背の高い木の下に牛を放牧させ酪農もやるそうです。
ここにある木はみな背が低いので、ガチョウが放されていました。

試飲をしながら生産者のマダムとお話していると、
うちのシードルは世界一と言わんばかりに自分たちが作ったものに
誇りを持っていることが伝わってきます。
どんなに時間と手間がかかるか、上手に熟成させるにはいかにテクニックが必要か、
マダムの饒舌が止まりません。

こんなふうに仕事に情熱を注ぐ人達が作ったものは、安心できるなと思いました。

おかげで沢山飲ませていただき、帰る頃には冷え切っていた体がぽかぽかしていました。

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(写真:向かって左からシードル辛口、甘口、林檎ジュース、ポモー。
ポモーとは、カルヴァドスに林檎ジュースを加えたリキュール。
カルヴァドスはシードルをさらに発酵させて作ります)

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ENYO ソリアノ綾佳 2015.1.25
http://laviedenyo.blogspot.fr/