フランスルーアンの街で服づくりをするデザイナー、
ソリアノ綾佳さんからのお便りをご紹介します。
ルーアンは、パリから電車で1時間ほどの場所にある街。
この街でソリアノさんは自身の目で選んだリネンで服を仕立て、
年に一度リリース。エンベロープでもその作品をご紹介しています。
ソリアノさんについての紹介記事はこちらから »
2018.3.05
ひと月前と比べると空の色が明るくなり、春を告げる花々が咲きはじめましたが、
この数日間はヨーロッパに襲来している寒波の影響で非常に寒いです。
そんな最高気温が−1℃という日に、ノルマンディ西部の街 カーンに行ってきました。
カーンは、イングランド王ウィリアム1世が建てた城や修道院など
歴史的建造物があることで知られています。
あちこち歩いて観光をしたかったのですが、なんせあまりに寒かったので、
目的地の博物館と美術館に行くだけで精一杯でした。
カーン城跡の敷地内にあるノルマンディ博物館には、
この土地で使われてきた様々な生活道具や民族衣装が展示されています。
食事に使う陶器を見ていて、素朴でチャーミングな作風は
まるでノルマンディの人々を表すようだと感じました。
博物館に来ると、「これ欲しい!」という感想がつい多くなってしまいます。
特に強くそう思ったのは、19世紀に嫁入り道具として作られた
ワードローブと中に入ったハウスリネン一式です。
これは結婚する女性の家族が、娘に夫婦のイニシャルが入ったナプキンや
シーツなどのリネンを一生分持たせた習慣があった頃のものです。
蚤の市にもそういったリネンが売られていますが、
中には片方のスペースが空いたまま刺繍されたものがあり、
きっと結婚が決まる前から準備をしていたのでしょうね。
昔の生活品には、手作業を惜しまず長い時間をかけて作られたものが多くあります。
衣服の縫製を見ると修繕された形跡のあるものや、
予めお直ししやすいように縫い代をとっているものなどがあり、
大事に使われていたことがよくわかります。
作り手として、物のあり方を考えさせられる時間でした。
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ENYO ソリアノ綾佳