フランスルーアンの街で服づくりをするデザイナー、
ソリアノ綾佳さんからのお便りをご紹介します。
ルーアンは、パリから電車で1時間ほどの場所にある街。
この街でソリアノさんは自身の目で選んだリネンで服を仕立て、
年に一度リリース。エンベロープでもその作品をご紹介しています。
ソリアノさんについての紹介記事はこちらから »
2018.4.17
ノルマンディに春がやってきました。フラックスの種蒔きの季節です!
何度かこのアトリエだよりでも6月に開花する青い花畑の記事を書いてきましたが、今回は定点観測をした畑の様子を時系列に沿ってお伝えしたいと思います。
2017年6月16日
春に蒔いた種が青紫色の美しい花を咲かせました。花弁は5枚、直径1cmほどの小さな花です。香りはなく、受粉は風によって行われます。
広大な畑が地平線の向こうまで青く染まるのは大変に見事ですが、花は半日ほどで散ってしまうため、儚い景色です。
2017年6月24日
花を終えた部分がぷっくりと膨らみ、種を収納するシードボールになりました。この頃には全長1mくらいに成長します。
約2cmしかない根っこでもこの長さを支えていられるのは、茎がしなやかな繊維でできているからなのでしょうね。
2017年7月8日
みずみずしい緑色だったフラックスが、熟れてきつね色になりました。茎も随分と細くなったのがわかります。
シードボールの中も乾いて空洞になっているので、風が吹くと種がシャラシャラと鈴の音のように鳴ります。もうすぐ収穫の頃です。
2017年7月19日
収穫は農耕車で引っこ抜き、そのまま畑の上に寝かせます。すぐに回収せず寝かせておく理由は、土の中のバクテリアが茎を食べ発酵されることにより、後に茎の表皮から繊維を剥がしやすくするためです。
以前は川の水に浸して行っていたことから、この工程を ”浸水” という意味のフランス語で ”le rouissage” といいます。昨年の夏はとても暑かったせいか、この一週間後に畑を見に行くとすでにフラックスは回収されていました。
本来ですと夏の終わりまでは列になって寝そべった様子を見ることができます。畑から回収されたフラックスは、繊維を取り出す工場へ運ばれます。
今年もまた観察をしに行くのが楽しみでなりません。私にとってフラックス畑は創造の源です。
アトリエで服をつくる間も、風に揺れるフラックスを思い出しています。
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ENYO ソリアノ綾佳