2月のフランスは珍しく晴天が続き、例年より一足早く春めいてきました。
この時期は新作の撮影をするのですが、
いつもだと曇りの日ばかりで暖かい季節を想像させる画を撮るのに苦労するところ、
お陰で今年は良い写真が撮れたと思います。
 
19’ssは、いつも自分らしく人生を思い切り楽しんでいるフレンチマダムから
インスピレーションを受けたコレクションになりました。

▲色使いを特に意識しました

そこでモデルを「あんな風に人生を重ねていきたいな」と思わせてくれるお手本の友人にお願いしました。
 

▲坂の上にある彼女の家。空の色が冬とはもう違います

撮影場所である彼女のお家を訪ねると、赤い実のコンフィチュールを仕込んでいるところでした。
私の義母は果物が旬のうちに1年分煮て冷凍していますが、彼女は果物をそのまま冷凍しておき
数日分の量を少しづつ解凍してつくるそうです。
 
ご自慢はフランボワーズのものだそう。義母はおそらくアプリコットかな。
なぜなら他の果物のよりいつも多めにつくるから。
それぞれにこれまで続けてきた暮らしのレシピがあって、生活って素敵だなと思いました。
 
おしゃべりに夢中で少々脱線しつつも、天井まで本がぎっしりある居間、
ハーブ類がずらりと並んだキッチン、家具職人だったお父さんがつくったテーブル、
洋服が映える背景を探し家中いろんな場所で撮影をしました。

▲本棚はその人を表すよう。沢山の本はきっと、彼女の豊かな感性を育てたのだろうな

撮影中、コツコツ地道に作ってきた洋服たちが、
なんだか自分でつくったものじゃないみたいに輝いて見えた瞬間がいくつかあって、
胸がいっぱいになりました。

まだ写真を撮っただけなのに…
販売開始時にはいっぱいになった胸がはち切れていそうです。
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ENYO  ソリアノ綾佳