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18.01.22
《つくり手ファイル》赤ちゃんの肌に優しく寄り添う aoのガーゼアイテム
これまで度々いただいていた「エンベロープで赤ちゃんのものを扱ってほしい」という声。皆さまにおすすめしたいものが、やっと見つかりました!洗いざらしのガーゼの気持ちよさが感じられる「ao」のベビーアイテムです。
■新潟県糸魚川で生まれるガーゼ服
代官山駅からほど近い路地裏の階段をのぼると、aoのショップはあります。ブランドがスタートしたのは2005年の春。以来ずっとこの場所で、自社工場でつくったガーゼアイテムを紹介しつづけています。
aoの生みの親である久保正子さんにお話を聞きました。
「aoは、新潟県糸魚川市にある縫製工場のファクトリーブランドです。もともとはブラウスを専門とした50年以上の歴史がある会社なのですが、私の大学の先輩である2代目の新しくブランドを立ち上げたいという思いと、私のガーゼでベビー服をつくりたいという思いが合致してスタートしました」(久保さん)
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▲前職は編集者だった久保さん。様々なつくり手とともに暮らしまわりの本を手掛ける中で、いつしか自分も子どもの服をつくりたいと思うようになったという
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▲店内にはベビーアイテムとともに大人のための服や小物が並ぶ
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▲糸魚川の縫製工場。縫製だけでなく、紡績も染めも国内生産のものを選んでいる(写真提供:ao)
■aoのガーゼがふわふわな理由
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▲ゆるく撚ったコットンの糸をあまく平織りしたガーゼ。ベビーのものに使われている生地はとにかくなめらか
―初めてaoの商品を見た時に、ガーゼってこんなにバリエーションがあるんだ!って驚きました。どれくらい種類があるのですか。
「透け感を楽しめる1重のガーゼや、生地の間に空気を含んで保温性のある二重や三重ガーゼなど20種類以上あります。
ベビーアイテムには、強度があって柔らかくて風合いのいい細番手のダブルガーゼを使うことが多いですね。生地が薄いので間にワタを入れたりして、ふんわりと仕上げています」
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▲写真提供:ao
―なぜこんなにふわふわなのですか。
「コットンそのもののふわふわが生きるように、糸を織り上げたまま、後加工をしていない生地を使っているんです。後加工をしないと素材の風合いや肌ざわりは残せるのですが、どうしても縮んでしまいます。
なのでこれくらい縮むというのを計算して、要は少し大きくつくって洗って縮ませてから販売しています。
同じ生地でも反物によって縮み具合が違うので、必ず1回洗って様子を見てからつくっているのですが、それでも思ったように縮まないこともあって。13年やってもまだ失敗はありますね」
―そうしたひと手間がかけられるのは、ご自分たちでつくっているからですね。
「そうですね。後加工していない生機(きばた)を縫製するのは、ゆがむので大変なのですが、縫子さんの技術に助けられています。
気持ちよく着てもらえるように、縫い代が肌になるべくあたらないように袋縫いや折り伏せにしたり、ロックで縫ったあとにさらに折ってもう一度縫ったりと色々とリクエストしているのですが、細かい部分もすごいスピードで縫うんですよ」
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▲写真提供:ao
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▲デリケートな赤ちゃんの肌に直接触れるものだから、生地だけでなく縫製にも着心地のよさを追求している
■つくって、直接渡せるからできること
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▲写真提供:ao
―久保さんは以前、編集の仕事をされていたそうですが、畑の違う仕事に就かれてどうでしたか。
「一冊の本をつくるのに、デザイナーやカメラマン、印刷所の方まで色んな人が関わるように、洋服もパタンナーや染める人、縫製工場の方と相談しながらつくるので、やっぱり一人ではできないというのは同じですね。そういった意味では編集の仕事での経験が生きています。
ただ本は出れば終わりだったけど、今はつくったものがお客様のもとへ届くまでを見られるのが違う点かもしれません。
必要とされている数をつくることを大事にしているので、つくる数はお客様の反応を見ながら決めています。なので、今まで洋服を1枚も捨てていないんですよ。
基本的にセールも行っていないので、少したまってきてはいるんですけど。でも10何年やっていて捨てていないというのは、励みになります。“最初から最後まで関われるのがうちのよさだね”ってスタッフみんなと話しているんです」
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aoでは洋服だけでなく、裁断で余った生地も無駄にしないようにハギレを生かした商品も手掛けているそうです。
さらに、2年前からは糸魚川でコットンの栽培もスタート!収穫量はまだ少しですが、新作の天竺の肌着の一部には手塩にかけたオーガニックの茶綿が使われているそうです。こちらの肌着、エンベロープでも初夏ごろにご紹介できそうです。どうぞお楽しみに。
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▲オーガニックコットンを育てるのも自分たちの手で。100%自社素材のアイテム誕生もそう遠い話ではないのかも。写真提供:ao
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