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掲載日:23.02.14
LISETTE/あなただけのポルトモネ《革のはなし》
ものを作る上でもっとも大切にしたいのが、素材選び。革がよくなくては、全てがはじまりません。リゼッタのがま口財布「ポルトモネ」の革はどのようにつくられているのでしょう。リゼッタスタッフが綴ります。※この記事は、リゼッタのホームページに掲載の記事を加筆・再編集したものです。
■「革」ができるまで
動物からとれた「皮」は、そのままの状態では腐敗し、水分が抜け硬くなってしまいます。
そのため、動物の「皮」にたくさんの工程を加え、わたしたちが普段使う「革」に仕上げます。“鞣し(なめし)”と呼ばれるこの工程を担うのが「タンナー」です。
鞣しは主に「水漬け」→「脱毛」→「鞣し」→「染色・加脂」→「乾燥」→「仕上げ」の6つの工程があります。
牛についている余分な脂肪をとりのぞき、屠畜場(とちくじょう)からタンナーさんの元へ。
タイコと呼ばれる大きな回転する釜に入れ、回転させながら革を染色したり、オイリングや薬剤を加え風合いをつくります。回転時間が長いほど柔らかくなるそうです。
タイコにお湯をいれ、湯を取り換える作業を3~4回繰り返し、馬にかけて脱水します。
水を1日程度きったら、平らにしてのばします。これは職人さんの感覚で繊維に沿って押しのばし、それによって革の厚みが変わる重要な作業です。
風通しのよいところで3~4日吊り下げて乾燥します。適正な水分率を保つため自然乾燥がベストです。
アイロン仕上げが必要なものは熱と圧力をかけ、つやを出します。このアイロン機を使うのも職人技。
最後に計量して巻いて出荷されます。
たくさんの工程を経て大切につくられていくことで、わたしたちが理想とする革の風合いが生まれるのです。
■自然の刻印、天然革本来の美しさ
「鞣し」は、クロム鞣しと植物タンニン鞣し、油鞣しの3つがあります。市場に出回っている革製品の約8割以上が、安価で短期間の工程で済む、クロム鞣しを行った革だとされています。
リゼッタの革バッグやお財布「ポルトモネ」に仕立てる「革」のほとんどは地球にもやさしく、使い込むほどに味わいのでる植物タンニン鞣しを選んでいます。
そして、わたしたちがお願いしているタンナーさんは、日本で数少ない植物タンニン鞣しにこだわってオリジナルの革をつくられています。
植物タンニン鞣しは天然の樹木から採取したタンニン液に皮を浸して鞣します。濃度の薄い液から徐々に濃い液に浸していくという、伝統的で時間のかかる製法です。
コストはクロム鞣し革の1.5倍から2倍ほど。作業時間は約4倍の2か月程度と大量生産には向いていませんが、本革ならではの手触りや香り、色艶の経年変化、天然の傷やシボなど自然の素材ならではの表情がいかせるのが魅力です。
また植物タンニン鞣しの革には化学薬品を使っていないので、土に還すことができる地球にもやさしい製法です。
タンナーさんから届いた大きな革のサンプルを広げてみると、場所によって肌の表情が違うことがよくわかります。
人の肌と同じように動物の肌にも当然、小さな傷痕やシワ、血管や毛穴の痕、ホクロ、色むらなど各々あります。動物の生きた証、自然の刻印をそのままに仕上げているので、自然な風合いゆえの個体差ももちあわせています。
それぞれ個性のある革の表情のお財布「ポルトモネ」。比べてみると微妙な色の濃淡もわかります。
ふたつとない個性、各々のもつ豊かな表情、風格、天然レザー特有の香りや滑らかな手触りをお楽しみください。
■経年変化も美しい
経年変化は植物タンニン鞣しが施された本革に起きやすいです。タンニンが紫外線によって酸化し、自然な風合いに変化していきます。
そして使うほどに革に含まれている油分が少しずつ表面に滲み出て、独特な“艶”が現れます。お財布は特に毎日手に触れるものだから、自然と早く色艶がでます。
経年変化も楽しみながら愛着の湧く自分だけのひとつに。
お客さまの手にわたり、経年変化していく様を見たとき、モノづくりの楽しさを感じます。以前取材したコラムもぜひご覧ください。
スタッフのポルトモネをレポートしたコラム。
リゼッタのお財布ものがたり(前編)
リゼッタのお財布ものがたり(後編)
リゼッタのお財布ものがたり(番外編)
ディレクター平が綴ったポルトモネのはなし。
カテゴリ:リゼッタ