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18.02.27
《特別コラム》advintageが語る「ヴィンテージ時計の魅力」2
3月3日(土)より、shedでトランクショーを開催するヴィンテージ腕時計店「advintage(アドヴィンテージ)」。店主の佐伯さんが語る「ヴィンテージ時計の魅力ついて」後半をお届けします。
「特別コラム」前半はこちらから。
■ヴィンテージウォッチならではのブルースチールの輝き
ひとたびヴィンテージウォッチが好きになると、現行品や新しい腕時計に食指が動かなくなる人がたくさんいます。それほど、ヴィンテージの味わいは人を惹きつけるものがあります。
今回は、そんなリアルヴィンテージに息づく魅力的なディテールにフォーカスします。
ヴィンテージウォッチにしばしば見られる、青光りする針。「ブルースチール針」と呼ばれる、ヴィンテージウォッチの最もアイコニックな意匠のひとつです。特に1940年代以前の古い腕時計に見られます。
ブルースチールは、鉄に熱を加えることで表面に酸化被膜を生成するという古くからの製法でつくられます。この酸化皮膜は鉄の表面に生じる錆を防ぐ効果があり、同時にそれは温度上昇によって刻々と変化する素材の色とタイミングを見極め、最も美しいコーンフラワーブルーをつくり出す繊細な手仕事でもあります。
普段は黒と見まごう鉄紺色の針が、不意にきらりと反射して見せる瑠璃色の輝き。この芯の強い輝きに魅了され、ヴィンテージウォッチに恋する人も多いはず。
■スモールセコンド or センターセコンド?
よく似た二本の腕時計。時計と言うと、右のような中央に時・分・秒の三針が置かれるものをイメージする方が多いかもしれません。
しかし元々は左の時計のように、スモールセコンドと呼ばれる秒専用のサブダイヤルが6時位置に置かれるスタイルが一般的でした。特に懐中時計は、ほぼすべてがこのスモールセコンドのスタイルです。
懐中時計の時代はそれ自体文字盤が大きかったため、スモールセコンドでも十分に視認ができましたし、そもそも秒単位の測定は日常生活ではそれほど重要ではありませんでした。
しかし、二度の世界大戦を通して腕時計の重要性が飛躍的に高まったことで、その状況が一変します。
隊を組む兵士達の作戦実行や医療従事者が脈拍を計測する際など秒単位で時を知りたいとき、腕時計のスモールセコンドは明らかに視認がしづらく不便でした。そこで活躍したのが、秒視認が容易なセンターセコンドの腕時計。戦後もスポーツの普及やビジネスの加速も相まって、一般的な時計のスタイルとして普及しました。
どちらも異なる魅力がありますが、スモールセコンドがよりクラシックなスタイルというのはそうした歴史的背景から来ているのです。
■エイジングした文字盤の味わい
時が染める味わい。これもまた、ヴィンテージウォッチならではの魅力です。
頬を赤らめるように焼けたきつね色の文字盤、ミラーフィニッシュの黒文字盤が枯れて生み出す、煤(すす)色、赤銅色、そして無数のスポットによる亜麻色のマーブル。そのどれもが、作為のない天然の美。
ヴィンテージの家具や着古したデニムに近い、風合いの美とも通じる部分。文字盤のエイジングはダメージではありこそすれ、機能性に大きな影響を与えるものではありません。ヴィンテージウォッチを「一点物」たらしめているのは、その個体の希少性だけでなく、エイジングも大きな影響を与えていると思います。
ほかにも、各ブランドやモデルの背景、歴史などが幾重にも折り重なり、一本一本の魅力が醸成されているのがヴィンテージウォッチ。
ぜひこの機会に、その魅力に触れて楽しんでいただければ幸いです。
Author:advintage
advintage trunk show/「スミスと英国のヴィンテージウォッチ」
2018年3月3日(土)から3月5日(月)
shed(東急田園都市線・大井町線二子玉川駅より徒歩3分)
*エンベロープオンラインショップで一部先行販売中です。
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