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18.06.14

《つくり手ファイル》その手から咲く花/布花作家utopianoさん

自分で育てたばらやニオイスミレ、野に咲くシロツメクサ、冬に届くヤドリギの枝…。それらをじっくりと見つめ、琴線に触れた部分を心の中にスケッチして布で表現する。6月のshedで國井ミアキさんとともに展示会を行う布花作家、utopianoさんをご紹介します。

■布で、植物を表現する

写真提供:グラフィック社/撮影・衛藤キヨコ

美しい草花を目にした時、その感動を何かのかたちでとっておきたくなることってありませんか。ある人はカメラのシャッターを切ったり、ある人はスケッチをしたり、「こんなきれいな花が咲いていたんだよ」って家族に報告する人もいるかもしれません。

今回ご紹介するutopianoさんは、布で花をつくる人。植物と向き合い、型紙を起こして布を裁断し花のかたちに仕立てます。

写真提供:グラフィック社/撮影・衛藤キヨコ

■どこに惹かれ、どう表現するか

utopianoさんの布花づくりは、植物のことを知ることから。実際の植物をじっくりと観察した上でつくります。

その制作の様子を見せてもらいました。

▲構造を知るために分解したバラの花びら。外側にいくほどに大きくなっていく様子や、色がどのように入るのかを観察。そこから大きさ別に数種の花びらを選び、原型をつくります。写真提供:utopiano

▲原型をもとにカットした花びらにコテをあてて、コロンと丸みをおびたかたちに。ここで微調整を繰り返してから、本生地を使った制作へ

▲一枚ずつ染めた花びらをバラのかたちに組んでいきます

大事にしているのは植物そのままを写し取ることではなく、自分がどこに魅了されてそれをどう表現するか。「同じものを見ても、見え方はその人それぞれですよね。そこにオリジナリティが宿ると思うんです」そう、utopianoさんはいいます。

「本物のようにつくるのが目的ではなくて、その花を見た時の印象を表現したいと思っています。

スミレの距(きょ)や、地面を這うシロツメクサの茎、ヤドリギがつくる影など細部に惹かれることが多いのですが、私がきゅんときた部分を布でどう表現するかをいつも考えています」

▲布花づくりの楽しさを伝えるため定期的に教室を開催。「最初は私の作品をお手本につくっていた生徒さんが、だんだん植物自体に興味を持つようになり、実際の植物を観察してつくるようになります。それがとても嬉しいのです」写真は著書「布花標本」(グラフィック社)

■北海道で出合った野の花をかたちに

▲國井さんからの小包に同封されていた、洞爺で採取されたヤドリギをモデルに(上)。北海道に春を告げる花「オオバナノエンレイソウ」(下)は、花を咲かせるまでに10年以上の月日がかかるといわれています。どちらもアンティーク・リネンの端切れで制作

utopianoさんが布花をつくるようになってから10年ほど。
その中で転機となったのが、自身の展示会のために北海道洞爺湖町を訪れたことでした。

「気温の低い北国のそこここに咲いている植物の美しさに感動しました。同時に、私は植物のことをまだ全然知らないな、とも思いました。

以来、毎年洞爺を訪れるように。四季を通じた様子を観察したくて、これまで春・夏・冬の洞爺に滞在しました。次はまだ見たことのない秋に、足を運びたいと思っています」

今回ともに二人展を行う國井ミアキさんとのつながりも、その洞爺湖で生まれました。

展示会では、國井さんがアンティークリネンの生地で服をつくった、そのはぎれでutopianoさんがつくった白い布花も並びます。

北海道で出合った野の花をテーマに、shedに布の花を咲かせてくれます。


●fleurs sauvages et utopiano 二人展/「野生の花たち」

2018年6月29日(金)~7月1日(日)
shed(東急田園都市線・大井町線二子玉川駅より徒歩3分)
6月22日(金)12時より一部作品をオンラインでも販売します。

>>詳細はこちらをご覧ください。

カテゴリ:エンベロープ, shed

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