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18.11.07
《つくり手ファイル》ただの飾り、だからいい。/織物作家池田美穂子さん
天然糸と流木でタペストリーを織る人、池田美穂子さん。その時の気持ちに忠実に手織りされた作品の数々は、シンプルで飾る場所になじみ、その場を楽しく彩る力があります。
■織物で壁面を彩る
タペストリーのつくり手である池田美穂子さんは、幼いころからものをつくることが好きだったといいます。
服飾の学校へ進学し、卒業後は販売の仕事に携わりますが、やはりつくりたいという気持ちがあってものづくりの世界へ。そこで選択したのは洋服ではなく、織物でした。
「洋服よりも、家の中のことに目が向きはじめたんです。身近な日常を彩るものを手掛けたくて、織物を選びました。
絵を飾る家で育ったので、壁を装飾することに関心があり、それを自分でつくりたいと思ったんです」(池田さん)
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▲自宅のアトリエで手織りをする池田美穂子さん。ひとりで作業をしながら、小屋で織っているような気持ちになり屋号を「coya」と名付けました
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▲作品は全て、ドイツ製の織り機でつくられています。縦糸を張る作業が何より好きなのだとか
■天然糸と流木を使って
作品に使用しているのは羊毛、綿、麻、流木。どれも天然の素材です。手に触れて柔らかなもの、温かみの感じられるもの、そして自然な優しい色合いのものを選んでいるといいます。
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▲使うことが多いのが、太めの羊毛。空気を含んで柔らかな質感のもを多用しています
「色は白やグレーが定番。お部屋に馴染んでもらえたらと思うので、あまり沢山の色は使いません。手でつくる温かみが届けられたらと、その時の気持ちを素直にかたちにしています」
■無駄ってとても大事なこと
自身はものが多くない家で暮らす池田さん。
シンプルな空間に、タペストリーを二つ並べて飾ってみたり、気分で色々違ったデザインのものに替えながら楽しんでいるそうです。
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▲リビングや寝室だけでなく、玄関のちいさなスペースに飾る方もいるそう。結婚や出産、新築祝いなど節目の贈り物としても選ばれています
“実用的でないもの”って何だか楽しいと池田さんはいいます。
「タペストリーはただの飾り。そこがいいと思っているんです。あるだけでちょっと嬉しくなるというか。無駄って自分の中ではとても大事なんです」
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▲自分が思い描いたものを織物としてかたちにしていきたい、と池田さん
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