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19.05.16
《つくり手ファイル》つくるものに込める願い/NIZYU KANO
「気付いたらいつも使っている」そんな道具に出合えた人は幸せです。NIZYU KANO(ニジュウカノウ)がつくるバッグはどこまでも使う人思い。デザインと機能、その両方が叶うプロダクトの背景には、つくり手の願いがありました。
■ 街で持ちたいナイロンリュック
「スポーティになりすぎない、ナイロンリュックが欲しい」
私たちが探していたのはリネンやコットンの服にも合う、ナイロンのもの。そのイメージにぴったりだったのが、NIZYU KANOの「FUKUI SIWAナイロンリュック」でした。
「普段使いできることを考えてつくったんです」とはつくり手である NIZYU KANO のATSUKOさん。出産をきっかけに、使い勝手を考えて選んだのがナイロン素材でした。
街になじむように、スポーティになりすぎないように。
その兼ね合いを深く考えながらつくられたリュックは、アウトドアブランドのものとはまた違った、日常的に持ちたいバッグです。
■日本の素材を使った、国内でのものづくり
NIZYU KANOはEICHIさん、 ATSUKO さんご夫婦によるライフスタイルブランドです。
バッグメーカーでデザイナーとして働いていた二人が、「もっと使う人と近い距離でものづくりをしたい」と立ち上げました。
大切にしていることの一つが、「国産素材と国内製造」。
メーカーで働いていた時は、いい出合いがあっても規模的なこともあり叶わなかった、日本で生まれた素材を国内で縫製して製品にしています。
最初に見た時に「天然繊維かしら?」と思ったナイロンは、福井県でつくられたもの。風合いのよさを大切にした、オリジナルの生地です。
「天然素材のような風合いをもった、いわゆるナイロンっぽくないものをイメージしていたので素材探しが大変で。結局生地から起こしてもらったんです」(EICHIさん)
塩縮加工により目がきゅっとつまった生地は、独特なシワ感があって表情豊か。光沢のないマットな質感は品があります。
■根っこにあるのは「使う人目線」
NIZYU KANOの根底にあるのは、使う人の位置に立ったものづくりです。
「ポケットの入り口が斜めなのは、リュックを背負ったまま財布が取り出せるように」「ビジネスマンがさっと名刺を出せるように、取り出しやすい位置に小さなポケットを」「背面のポケットに携帯を入れると、背中で着信がわかるので便利ですよ」
ファスナーの可動域、ポケットの位置・サイズなどなど細かいところにまでちゃんと理由があって、それがすごく具体的なんです。
「ミリ単位で悩みながらつくるんです。例えば、ポケットの高さもちょっと下げただけで携帯がはみだしちゃうねとか、つくりながら細かくサイズ調整をします」とATSUKOさん。
その理由について、EICHIさんはこう話します。
「気付かないうちに使っているような、その人の暮らしになじむものをつくりたいと思ってます。デザインがよくても、使いづらかったら愛してもらえないですよね。
愛用してもらうために、外側のデザインはシンプルに、中身に機能を持たせて使い心地のよさが感じられよう心がけています」
■使い手にとって価値あるものであるように
どこかの国の言葉のような響きのNIZYU KANO(ニジュウカノウ)。その由来をたずねると、ATSUKOさんがバッグの中からお守りを出して教えてくれました。
「ニジュウカノウって、お守りに使われている飾り結び“二重叶結び”のことなんです。
表から見ると結び目のかたちが“口”の字のかたちに、 裏から見ると“十”の字になっていて、合わせると“叶える”の字になるんですよ」
自分たちが手がけたものが、使う人にとっても道具以上の価値あるものになるように。
NIZYU KANOがつくるものには、そんな願いが込められています。
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