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23.05.16

《つくり手ファイル》師匠たちの遊び心に惚れ込んで/tpfc 福田真理子さん

職人の伝統的な技術と遊び心を受け継ぎ、のびのびと竹を編む福田真理子さん。エンベロープのかご展では4型の竹かごが登場。福田さんがかご編みに至るまでのことや、竹に魅了される理由を聞きました。

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■竹を編み始めて10年目。大師匠のパワフルさと遊び心に惚れて

のびのびとした表情で、暮らしの中で使いやすそうな福田さんの竹かご。

「竹を編み始めて10年が経ちました。大学のときから何かつくる仕事をしたいと考えていて、気になる産地や職人がデモンストレーションしている場に足を運んでいたんです。

実際に竹を編みたいと思ったきっかけは、別府竹細工を展示している大分の伝統産業会館に訪れたときでした」

▲大分にある別府公園内の竹林

「展示の出だしから、巨大なラグビーボール、同じく巨大な皿、壺、神輿……その大きさとパワフルさに度肝を抜かれてしまって。

天井にはシンプルで美しい名作照明。日用品も美術品からも、楽しくつくった!と、ぐっとくる力がありました。繊細で美しい仕事ともに最高の楽しさを発見して、それがすごく嬉しくてその場でこれにしたって決めました」

▲福田さんの屋号「tpfc」とはtake product funclubの略。自分は竹の職人だけど竹製品のファンクラブ会員でもあるという意味から

■竹が大好きになって、ずっといじっている感じです

思い切って大分に移住し、別府竹細工に特化した職業訓練校で学んだ福田さん。その後に角物師(芸術的な竹工芸とは異なり、道具である角物を専門とする人。角物は竹細工の四角いかごのこと)の技術を継承する師匠のもとで働き独立。

「師匠に教えていただいた四角を作る技術が特技ですので、その技術を使って道具として役に立ちそうか、いろいろなもののサイズを調べたりしながら職人的に箱を作っています」

「角物を作り始めて、直線と四角が大好きになりました。

角物は先人の工夫、積み重ねの歴史と叡智がきゅっと集まっている人間の考えたもので、とても人の役に立つ気がします。自然の中をプラプラしていると、長い直線や四角は人間の発明品にしかない眺めだと感じるんです」

▲清らかな空気が漂い、持つとしゃきっとした気持ちになる「道具箱

「師匠のもとに通うようになってから角物をきちんと作っていく、このきれいな道具をきちんと作る人になりたいと方向が定まりました」

▲数や図形が好きなことから三角、四角、丸、記号からもつくりたくなることがあると福田さん。写真はスタッキングバスケット/ふた・取手つき

■のびのびとした表情の角物たち

福田さんがつくるかごは、竹の新鮮な素材感とともに全体からみずみずしさが伝わってきます。その理由を聞くと「加工が簡素だからでしょうか」との回答が。のびのびとした表情の角物はどういう感覚でつくるのでしょうか。

「パッと見たときに直線で立ち上がっているか、ぼやっとせず四角いのかという点は大切にしながらつくっています」

▲おかずをたくさん持ってピクニックに行きたくなる「ボックス」

「白い竹の製品の加工をするときには、幅を取り、面取り、うらすき(裏の厚みを揃える)などそれぞれ違う道具を使って何工程もひごを整えていくものが多いのですが、師匠から教わった今の私のやり方では、竹割包丁という基本の包丁と手感覚で仕上げていきます」

▲ひごを割くときは、竹の縦の繊維に合わせて包丁を入れていく。油断すると太さが変わってしまうため、じっと竹を見ながら集中して作業を行う
▲バーナーで竹ひごを曲げていく様子

「編み上げるときにもひごの幅が均一でないので、調整しながら高さをそろえていくのですが、きちんと揃いすぎていないのが何となくいいのではないのかと思い込んでいます。

縦と横だけで目を詰めたわかりやすい編み方も視覚的にわかりやすいのかもしれません」

自然素材の竹は、人に例えるなら「隙だらけの人」

素材や原料にこだわるのが職人たち。福田さんは素材は日本のものや地域のものなど、身近なところから調達し、加工に携わることも。

「ここ最近は個人で竹を採って油抜きという作業までしている方を紹介してもらい、ほんの少しそばで手伝いをしながら購入していました」

▲福田さんの作品に実際に使った竹が採れた竹林
▲煮込んで油抜きした竹は、鮮やかな緑色。油抜きの作業は3人で朝から夕方まで。日にさらす前は水分を含んで重いため台車で少量ずつ運んでいくそう
▲竹林の竹をソーダ灰入りの熱湯で煮立てると、写真の黄緑色になり干し終わると白い竹になる

「年々竹材屋さんから売っていただくことも難しくなっているので、いつか自分で採っていけたらと思っているんです。

今後かご編みでやっていみたいのは、古いかごを再現できるようにじっくり勉強してみたいです。とても小さいものや大きいものに挑戦したいですね」

竹が大好きでずっといじっているという福田さんにとって、竹はどんなふうに見えるのだろうか聞いてみました。

「竹製品のおすすめのところは、草木のようなものを割って、剥いでかたちづくっただけのものなので、湿気があればカビたり、ひごが折れたり色も変わって、工業製品のようなつるっとした完璧な素材ではないところだと思います。

なので、隙だらけの人という感じで一緒にいていただけたらと思います。時々、たわしでこすってホコリを落としてあげてください」

昔は自然が近くにあって竹で何かをつくったり、暮らしにおいて身近な存在だった竹。現在はどうでしょう。

「今も筍は美味しいし、国が違えば建築資材として現役で働きます。動物も虫も竹が大好きな存在なんです」と、福田さんは竹の恵みを熱量たっぷりに語ります。

「竹の出す音は美しいです。冬の竹林に入る機会があったら、ぜひ座り込むか竹に寄りかかるようにして、ぼーっとしていただけたらと思います」

写真提供:tpfc 1、2、11~15、19、20~22、25枚目

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カテゴリ:つくり手ファイル

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