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23.05.19
《つくり手ファイル》モノトーンのようにシンプルな作品をつくりたい/Kuroshiro works
あたらしいのに古めかしい、籐(ラタン)のかご。 kuroshiro works のアイテムは空間にそっと溶け込み、静かなあたたかみを添えてくれます。モノトーンのようにシンプルなものをつくりたいと話す、つくり手の黒須さんに制作について聞きました。
■自分で作れるものは思いつくかぎり手づくり
カーテンや棚をつくるように趣味から「かご編み」がはじまったという黒須さん。つくれるものは何でもつくる、そんな思いの先からKuroshiro worksが生まれたと聞いて驚きました。
「もともと暮らしのものを手づくりすることが好きで、カーテンやキッチンクロス、棚など自分でつくれるものは思いつくかぎり手づくりしてきました。ここ3、4年はさらに食器やかごなど、つくれるものの幅を広げることに挑戦してきました」
「最初は自分のためにつくっていたのですが、オンラインショップも運営している古物店から、ポットマットを販売したいとお声がけいただいたのがきっかけでした」
「最初に納品したのは、ほんの10点くらいだったと思います。自分以外の方のもとで撮影された紹介写真、はじめての商品ページにとてもドキドキしたことを覚えています」
■昭和に大流行した籐編み。古い実用書をヒントにして
販売し始めた出来事はとてもうれしく、そのことから喜んでもらえる方にも届けたいというあらたな気持ちが生まれた、と話します。かご編みは自体ははじめてからどれくらい経つのでしょう。
「籐のかごは編み始めてまだ3年目です。あたらしいものをつくるときは、自分が欲しい!という気持ちがまず第一にあり、一般に受けそうなものよりも私らしさがあるもの、実用的なものをつくるように心がけています」
「籐のかごは自由度が高く様々な形をつくることができ、またナチュラルな風合いが暮らしにあたたかみを添えてくれるところにすっかり魅了され、今に至ります」
食器や棚、家の中は手づくりしたもので溢れているという黒須さん。すべて独学でかご編みは昔の書籍をヒントに自分流に応用して編んでいきます。
「籐編みは昭和の時代に大流行したようで、図書館を探すと古い書籍がたくさんあります。古い本なので編み方を読み解くのは難しかったですが、少しの基本を覚えるとあとは好きな形がつくれたので、そこが籐編みの楽しいところだと思いました」
「作品には、独学の私ならではの、本に載っていないオリジナルの編み方も取り入れています。今は制作の幅を広げるため、伝統的な編み方を覚えることにも挑戦しています」
■納得する色味を追求して
今はない大きめのかごやアクセサリーの新作などあらたなアイテムも画策中で、依頼が落ち着いて来たらチャレンジしていきたいと話す、黒須さん。
ラインナップはバラエティに富んでいますが、一つ一つのアイテムへのこだわりも強く、代表する2種類の色味は試行錯誤を繰り返してたどり着いた色だと言います。
「濃い茶色の方は染められたものを購入しているのですが、ナチュラルの方は、紅茶やコーヒーをブレンドして染めています。なるべく自然のものを使いたい気持ちとコーヒーや紅茶は濃すぎずとてもよい色が出るので好きで使っています。
あらかじめ染められたものでも、仕上げに塗るものによって色味が変わってくるので悩みました。今は薄いウレタンやエゴマ油で仕上げています。自分の色の好みも変わるので、そのときどきの時季によって微妙に色味が変わったりも」
「インテリアが好きなので他のものと組み合わせて考えたり、実際に使ってみて、どのように経年変化するかというのも自分で確かめながら決めています。
素材は天然のものなので一本一本染まり具合や色味、質感が違ったりするので、それも味わいとして楽しんでいただけたらと思います」
■モノトーンのようにシンプルな作品づくりをしたい
思いがけずアイテムを販売するようになり、ご自身でもそのことを楽しみながら導かれるようにあらたな道を歩んでいる黒須さん。計画し過ぎていないところに、どこか自由さを感じます。
「Kuroshiro worksという名前は、以前に黒猫と白猫を飼っていたのと、名前の黒須をローマ字にして少しもじったのがkuroshiro(くろしろ)。ハンドルネームとして制作を始める前から使っていたものですが、急に販売することになって他を考える時間がなかったものでそのまま屋号になりました」
「今では黒白(モノトーン)のようなシンプルで無駄のない作品づくりをしたいなと意味付けています。これからも自然素材を編み、暮らしを楽しくしてくれるようなものをつくっていきたいです」
カテゴリ:つくり手ファイル
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