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24.09.03
《つくり手ファイル》五感に響く、木の装身具/KÄSI 渥美香奈子さん
9月6日(金)よりスタートする「KÄSI受注会」、開催に先立ちましてつくり手をご紹介します。
身に着ける人もそれを目にする人も心地よく癒すKÄSIの装身具。つくり手の渥美香奈子さんは自身のことを「とにかくつくっていたい人」と語ります。天然木ならではのあたたかな作品は、渥美さんが木と向き合う時間から生まれます。
■見て、触れて、重なりあう音を聞いて
「なんだろう、癒される」
これはKÄSIのアクセサリーを身に着けたスタッフのひとこと。
木と木が重なり合ったときのやさしい音、ぬくもりを感じさせる手触り、いつまでも見飽きない木目や彫り跡。
渥美香奈子さんの作品には装いを彩るだけでなく、感覚を磨きくもりをはらすような力があります。
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鳥の囀り、白樺やエーデルワイス、バラ、季節毎に色とりどりの木々に囲まれた小さな家。そんな風景に惹かれるという渥美さん。
自然を求めて移り住んだアトリエで、すべての工程をおひとりで制作されています。
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■とにかく何かをつくっていたい
「木でものをつくるきっかけになったのは、もみの木でダーラナホースをつくるワークショップでした。
天然木の香りやあたたかみに魅力を感じて、アクセサリーを手掛けるようになったんです」
15年ほど前にスタートしたブランドのはじまりについてそう話す渥美さん。そのひとおしとなったのがお母様の「自分でもつくってみればいいんじゃない?」という言葉でした。
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「幼いころから母や祖母が手仕事をする姿を間近に見て育ちました。
『美味しいものを食べたら、家に帰ってつくってみよう。素敵な服をみたらつくってみよう。綺麗な花をみたら育ててみよう』
母はそんな風に考える人。祖母も姉もそうですね」
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「そんなこともあって私自身も物心ついたときから、つくったり育てるのが好きだったんです。
必要なものがあったら買うのではなく、自分でつくってきました。自分の服、マタニティ服、子供服、ぬいぐるみなどなんでも。とにかく何かをつくっていたんですよね」
■木と向き合う時間から生まれる作品
白樺やかつら、カエデ、ナラ、オーク、タモ……。KÄSIの作品にはさまざまな木が使われています。
明るくなめらかなカツラ材で仕立てた耳飾りやブローチ、ヤチダモの木目を生かして猫のバレッタ、深く趣あるチークを彫った馬のネックレス。どの作品もそのイメージに合わせて材質を選んでいるそうです。
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制作に使う道具は、糸のこぎりと彫刻刀。とてもシンプルです。
「一枚の板から、形にカットして、ひたすら彫って、ひたすらやすりを掛けます。割れたら初めからやり直しです。
ほぼ機械を使わないので大量生産はできません。独学なのでもしかしたらもっと効率のよいやり方があるのかもしれません。
でも手でつくるのが好きなんですよね」
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「木が生み出す、香りや温もり。人の性質がそうであるように木材も一つ一つ姿かたちが異なり、同じものがないところが魅力だと思います」
身に着けると肌に自然になじむところも、天然木ならではのよさ。やがてその色目は濃く変化していくそうです。
「もし気になるようなら日の当たらない場所に保管するといいですよ」とのことですが、ありのままの経年変化を見届けるのも一興です。
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■装いと使い手に寄り添って
私たちが初めてKÄSIを目にしたのはスタッフの愛用品でした。
一度見たら記憶に刻まれる存在感。けれど身に着けるとそこだけが浮くことがなく、どんな装いにもなじんでしまうから不思議。そんなことを思いながら見ていました。
「服を見て作品のアイデアが浮かぶことがあります。
私はカジュアルな装い、甘い装い、メンズライクな装い、ドレッシーな装いといろいろと着るのですが、アクセサリ―はさまざまな場面にあわせて制作しています」
インスピレーションの源についてそう話す渥美さん。身に着ける人やファッションテイストを選ばずに調和する理由について、腑に落ちた気がしました。
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木工ならではのあたたかみがありながら、でも素朴になりすぎず洗練された雰囲気。きっとエンベロープのお客様に喜んでもらえると思って開催の運びとなった今回の受注会。
渥美さんの方からは「せっかくだからエンベロープのお客さまのためのものをつくりましょう」と提案があり、特別仕様の装身具もご紹介できることとなりました。
フィンランド語で「手」を意味するKÄSIの装身具。渥美さんの手でしかつくれない作品をどうぞご覧ください。
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受注会は2024年9月6日(金)15:00より開催します。どうぞお楽しみに。
写真提供/KÄSI(2、3、4、7、8枚目)
カテゴリ:エンベロープセレクト, つくり手ファイル
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