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17.10.30

《つくり手ファイル》「flat」lito ao+ASUKA KURAMOCHI

lito ao(リトアオ)の青木敬子さんと、アーティストくらもちあすかさんの展示会「flat/フラット」が11月10日(金)より二子玉川のshedで行われます。アクセサリーとアート作品を融合させた世界を見せてくれる二人にお話を聞きました。

■お互いの作品に惹かれて

今回の展示会は、青木さんがかねてから一緒にやりたいと思っていたくらもちさんに声をかけて実現しました。

青木さん:くらもちさんの作品が、ただ素直に好きなんです。ダメ元で声をかけたら、すぐやりたいっておっしゃてくれて。

くらもちさん:私も青木さんの作品やお名前は知っていましたが、作品がシュッとしたイメージだったので、私の作品と合うか不安で「大丈夫ですか?」と聞いてしまいました(笑)

▲アパレルメーカーを経てアクセサリー作家となった青木敬子さん(左)と、プロダクトブランドに勤務しつつ創作活動も行うくらもちあすかさん(右)

北海道と東京。離れた場所で制作する二人は、この日が初対面。

そんなことを感じさせないぐらい、お互いの作品のことを知っていて、自分の作品を語るときよりも饒舌にその魅力を語ってくれました。

■自然のものを取り入れたアクセサリー

まずは青木さんの作品についてご紹介しましょう。

ユニークなのがその素材づかい。ブランドスタート時から使われているのが木・陶土・金属です。

▲木の種類はマホガニーやさくら、ヒノキなど様々

青木さん:自然のものを入れたかったんです。父が建築関係の仕事をしていたからか、建築でもインテリアでも木のものが好きで、一つ一つ違う木目がニュアンスを与えてくれるのではと思って使いました。

仕上げには蜜蝋を塗っています。身につける人の油分をもらって、徐々に濃くなっていくんですよ。

エンベロープ:木の呼吸を止めない優しいもので仕上げているからですね。

青木さん:最初は樹脂で塗ろうか迷ったのですが、そうしたらそもそも木でつくる必要がないんじゃないかと思って。自然のものが変化していく姿に惹かれるんです。

▲花をモチーフにしたピアス。赤いキューブは木、花びらに使われているのは革。タンニンを塗り、花びらのかたちをつけて乾かすと自然にこのかたちに

エンベロープ:陶器はお皿の陶器ですよね?

青木さん:そうです。器用の土を手でこねてかたちをつくっています。汚れ防止に少しだけコーティングしていますが、陶器っぽくなりすぎないようマットに仕上げています。

色は土そのものの色で、最初は黒ぽいけど焼くときれいな白になるんです。どんな土がどんな色になるかわからないので、何回か試してやっと落ち着いてきました。

▲アクセサリーを身に着け慣れていない人も取り入れやすい、木と陶器のネックレス。エンベロープスタッフは結婚式の時につけています

エンベロープ:デザインはどうやって考えているんですか。

青木さん:デザイン画は描かずに、手を動かしながらつくります。テーブルの上に素材を並べて組み合わせながら、形を決める事が多いです。

くらもちさん:青木さんの作品はシンプルでありながら、動きがあるイメージです。会って実際お話を聞いていると、青木さん自身の雰囲気と作品から感じる木のぬくもりなどがとてもあっているなと感じました。

青木さん:作風がシュッとしてると言われる事が多いのですが、私自身ちょっと子供っぽいところがあって。おもちゃを作るように楽しく作りたいと思っています。

▲制作のひとこま。最近は真鍮やシルバーなど金属を使ったアクセサリーも増えてきました

■新たな視点を与えてくれるアート作品

風に吹かれた落ち葉や、水たまりに浮かんでいる花びらが作り出す風景。

そんな自然にできたアートを思わせるのがくらもちさんの作品。

今回の展示会では、押し花を使った「Ohana-Mi」シリーズをご覧いただけます。

▲花と私とお花見の意味が込められている「Ohana-Mi」シリーズ。枯れたら捨ててしまう植物も、よく見ると模様があったりして面白い。花を見ることで発見があることに気づかせてくれます

青木さん:くらもちさんの作品は楽しい気持ちにさせてくれるんですよ。可愛いだけじゃなくて、余白の取り方とか素晴らしいんです。

くらもちさん:苦手ですよ。画用紙いっぱいに描いてしまうので、意識してつけるようにしています。

エンベロープ:作品はどうやってつくっているんですか。

くらもちさん:こう作ろうと最初に決めるのではなく、葉や花の形を見ながら制作していきます。作品に使用する花は、父が育てた花から間引いたものや買ったものなどを押し花にして使っています。繊細なので触って割れてしまったものはちぎって使用したりもしますが、なるべくそのままの自然な形を活かして使うように心掛けています。

青木さん:カットしていないんですか。私が買った作品は目の部分が切り抜いたみたいにきれいですよね。

くらもちさん:あれ、実は花じゃないんですよ。花は変化していくけど、そこは変わらずに残るんです。ゆくゆく気付いたら、面白いんじゃないかなって。

青木さん:驚きました!それを知れてよかったです。本当にいいですね。

くらもちさん:ものの視点をずらして、新しい見え方を提案できたら面白いなと思って。壁のヒビが絵に見えたり、影が顔に見えたりすることってありませんか。小さい頃からそんな視点が好きで、そういうことが表現できたらと思って制作しています。

▲壁面に飾ったり、キャビネットに立て掛けたり。光の加減で影がドローイングのように見える一面も

エンベロープ:それぞれに言葉を書いた紙がついているんですね。

くらもちさん:作品に添えている紙は、作品に対してイメージした言葉と擬音語を選んで紙に書いています。
作品を制作する時は、見てくれる人が想像を膨らませてもらえるように制作していますが、言葉が加わることで、よりパーソナルな感じ方で作品を見てもらえるような気がして、一緒に添えています。

▲ある作品には添えられていたのは、こんな言葉

▲展示会ではくらもちさんのドローイング集もご用意。言葉と絵を組み合わせた作品の数々をお楽しみください

▲くらもちさんの名刺に描かれているお花。よく見ると何か文字が隠れてませんか?

■展示会のテーマは「flat/フラット」

今回の展示会のタイトルは「flat/フラット」。

自然界にある直線や曲線をヒントに、先入観や刷り込まれた価値観を一旦リセット。

フラットな視線で見た世界をご覧いだけます。どうぞお楽しみに!

>>二子玉川shedでの展示会は11月10日(金)~11月14日(火)に開催。会期終了後には一部作品をエンべロープオンラインショップでも販売します。

カテゴリ:エンベロープ, shed, つくり手ファイル

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