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18.01.25
《つくり手ファイル》「描くように、糸をのせて」 刺繍家hoshi mitsukiさん
刺繍家hoshi mitsukiさんによる展示会「今日、丘の上で。」が、2月3日(土)より行われます。会場となるshedには、あちこち旅してきたhoshiさんの分身である「彼ら」が集まります。※こちらの展示会は終了しました。
■描かずにはいられない、日常のひとこま
料理をしようとまな板に並べた野菜、
友達にもらった桃、
朝日に照らされていた銀色の糸…
美しいと思うものに出会ってしまった時、hoshiさんは描かずにはいられません。今描かなくては!そう思って、色鉛筆を手に取るのだそうです。
忘れたくない風景を描いたスケッチは、さらに刺繍で表現します。

▲作品の多くに使われるのがチェーンステッチ。本数を変えることで、なめらかな曲線やぽってりとした厚みなど幅広い表現ができる

▲hoshiさんが手にするのは、1mほどの作品「土の上の花園」。梅の実や雨露、紅色の苔など、旧乃木邸の庭で目にした光景をステッチ
描いたものを刺繍するhoshiさんの制作スタイル。それは、絵を紙以外で表現できないかと考えて、布と糸ならできるかもしれないと思ったことがはじまりでした。
「裁縫を学んだことがなかったから、最初は本当にへたくそで。でもやっていくうちに、色を塗るように線を描くように刺繍する感覚がつかめてきました。鉛筆も刺繍糸も色が限りなくあるのですが、出したい色に合わせて選ぶのが楽しいんです」(hoshiさん)

▲ある日見た夕焼け。ステッチが緻密で少し離れたところから見ると絵画のよう

▲「土の上の花園」より

▲刺繍糸にリングを結ぶ「リングピロー」。セレモニーが終わったあとも部屋に飾って、記憶として残しておきたくなる作品
■「私の分身、ひざこぞうに集合をかけました」
今回の展示会のために、hoshiさんは「彼ら」に集合をかけました。それは「ひざこぞう」、hoshiさんにとって分身のような存在です。
「デザインを学んだ専門学校の卒業制作で、“日常の中で身体に表情があったら”というテーマで刺繍作品を手掛けたんです。表情をもった様々な身体の部位を刺繍したのですが、その中の一つひざこぞうに特に思い入れがあって、ずっとつくりつづけています」

▲ひざこぞうの表情は、私ならこんな時にどんな顔をするのか考えながら描くのだそう
気持ちのいい草原の丘で、青々とした山が見える場所で、
ミルクレープのおいしいカフェで、バーのカウンターで…。
様々な場所にいたひざこぞうが集まって、旅の報告をしてくれるそうです。
彼らはどんな旅をしてきたのでしょうか。
それは、展示が完成する時までhoshiさん自身もわからないそう。物語の結末は、ぜひshedでお確かめください。

▲作品「貝の中に見た山」。「おみやげにもらった貝殻を描いていたら、山波のように見えてきました。そのたおやかな山波をひざこぞうが目指して進む場面を描いています」
展示会では、i mirisiさんとの共作「E´phe´me`re Sachet」(イフィメールサシェ)も受注販売します。
香りづけしたドライの花を、チュールレースの刺繍袋で包んだ作品は、やがて消える香りの儚さ(Ephemere)を楽しんでもらいたくてつくったものです。

▲記憶と密接に関わる「香り」のアイテム。今展のテーマ「旅の記憶と跡」にリンクしている
※展示会は終了しました。
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